認知バイアスに関する36冊の書籍&2つのネットコンテンツで、個々の認知バイアスが取り上げられる回数をカウント。
数の多かった順にランキングし、上位100の認知バイアスを短い解説を添えて紹介している。
よく知られた事例なども交え、できるだけ直観的な理解が得られるように工夫した。
各認知バイアスの解説にある「著者たちの言い得て妙」はそんな工夫の1つ。
調べた38の情報元で使われていた見出しや本文から、それぞれの認知バイアスの一端をわかりやすく突いたフレーズを抜粋している。
ランキングに使った書籍やネットコンテンツの一覧は記事の最後に掲載がある。
行動経済学や認知心理学、社会心理学、経営学など、認知バイアスの研究が進む領域の専門家たちが執筆・監修したものが多く含まれている。
1~10位圏 確証バイアスやハロー効果など
01.確証バイアス
【confirmation bias】自分の思い込みを裏付ける情報ばかり集め、それに反する情報は無視しがちなこと。
たとえば、「A型の人は几帳面」という先入観がいったんできあがるとA型の人の几帳面な行動ばかりに注意を向けるのがその例。その先入観に相容れない側面は例外として見過ごされてしまう。
関連:88.チェリーピッキング
02.代表性ヒューリスティック
【representativeness heuristic】ある事象がカテゴリーを代表しているかどうか、典型的であるかどうかを判断基準に、勝手に推測や断定をしてしまうこと。
「スーツを着ているから会社員だ」「白衣を着ているから医師だ」と決めてつけしまうことなどがその例。投資といえば株式、高級車といえば「ベンツ」というような「〇〇といえばXX」式の選択行動も同様。
関連:41.連言錯誤
03.フレーミング効果
【framing effect】フレーミングとは枠や額縁(フレーム)から来る言葉。
同じ内容の情報であっても、その提示の仕方(ポジティブな側面に焦点を当てるか、ネガティブな側面に焦点を当てるかなど)によって印象や判断が変わってしまうこと。
たとえば「成功率80%」の治療法A(ポジティブ・フレーム、成功率を強調)と「死亡率20%」の治療法B(ネガティブ・フレーム、死亡率を強調)では、同じ内容にもかかわらず治療法Aが選ばれやすくなるがその例。
04.サンクコスト効果
【sunk cost fallacy】過去の投資や努力を無駄にしたくない心理から、明らかに損な選択に固執してしまうこと。
食べ放題で支払った分の元を取ろうとつい食べ過ぎてしまうのがその例。アマゾンプライムの年会費を取り戻そうと必要以上に買い物するのも同様。投資家がいつまでも損切りできない要因にもなり得る。
別名:サンクコストの誤謬、コンコルドの誤謬(既に投じた巨費を無駄にしまいと採算度外視で開発が継続されたが、結局は運航停止となった超音速旅客機「コンコルド」に由来)
05.利用可能性ヒューリスティック
【availability heuristic】記憶に容易に思い浮かぶ情報に基づいて推論や判断をすること。
美容室の数はコンビニの数よりもはるかに多いが、コンビニは利用頻度も高いため思い出しやすいことから、コンビニの数のほうが多いと誤って判断してしまうのがその例。飛行機事故のニュースが印象に強く残り、飛行機に乗るのが怖くなるのも同様。
関連:再認ヒューリスティック(知っているものは、知らないものよりも信頼できると思い込む)
06.ハロー効果/後光効果
【halo effect】最初の印象で全体像を評価し、その後の評価が左右されてしまうこと。
「ハロー」とは「後光が差す」というときの「後光」の意。一流大卒というだけでその人物を高く評価してしまうといったことがその例。容姿に優れた人への高評価も同様。
07.アンカリング
【anchoring】最初に提示された(非本質的な)情報を無意識のうちに基準値とみなし、その後の判断が歪んでしまうこと。
商品の値札に、あえて値引き前の金額が記載され、斜線などが引かれた横に「50%OFF」とあるのがその例。元の値段が示されたことでよりお得に感じてしまう。
最初に目にした高評価レビューから商品全体の印象がよくなるのも同様。
別名:係留と調整ヒューリスティック(係留とはロープなどで船をつなぎとめておくこと)
関連:62.コントラスト効果、75.おとり効果
08.単純接触効果
【mere-exposure effect】接触回数が増えるにつれて、対象への好感度が高まること。
いわゆる「見慣れたものは好きになる」の効果。テレビCMを何度も見かけることで商品の好意度が上がることなどがその例。
別名:ザイアンス効果
※本ブログの「単純接触効果」に関する記事はこちら
09.損失回避性
【loss aversion】利益よりも損失を大きく感じること。損失への恐れが行動や判断を歪めてしまう。
多くの人が投資より貯金を好むのは、投資による損失を避けたいことから。
期間限定セールで必要のないものでも購入するのも同様。安く買える機会を失いたくないと衝動買いしてしまう。
別名:損失回避バイアス
関連:10.現状維持バイアス、12.プロスペクト理論
10.現状維持バイアス
【status quo bias】変化を嫌い、リスクを避け、現状を維持しようとすること。
転居や離職・転職においては踏み止まらせる方向に働く。ほかにもパソコンやスマホなどデバイスの買い替え、サブスクリプションサービスの解約をためらうなどもこのバイアスから。
関連:09.損失回避性
11~20位圏 バンドワゴン効果や保有効果など
11.バンドワゴン効果
【bandwagon effect】多数派の意見に無自覚に追随してしまうこと。
勝ち馬に乗って自分も勝者になろうとする心理から来る。選挙戦で優勢が報じられた候補が、さらに多くの票を集め、地すべり的大勝を収めるのがそれにあたる。
関連:83.社会的証明
12.プロスペクト理論
【prospect theory】不確実な状況で選択を迫られたとき、人がどう損失と利益を評価するかを説明するための理論。
この理論によれば、同じ規模の利益と損失では損失のほうが1.5~2.5倍程度重く受け止められるという。
関連:85.確率加重関数、86.価値関数
13.後知恵バイアス
【hindsight bias】起こってしまった出来事を最初から分かっていたかのように思い込むこと。
知ってしまった「結果」にとらわれ、過去の自分に戻って記憶を正確に思い出せないことから来る。
ひいきのチームが試合に負けると「こうすれば勝てたじゃん!」と考えるのがその例。他者の失敗に対してのみならず、「なんであの時、ああしなかったんだろう」と責めが自分に向かうこともある。
※本ブログの「後知恵バイアス」に関する記事はこちら
14.ステレオタイプ
【stereotype】特定の集団に対する単純化された固定観念のこと。
個人がその集団の一員とわかっただけで、固定観念をそのままあてはめる。個人の違いはあっさり無視されてしまう。
関連:ステレオタイプ一致バイアス(ステレオタイプに一致した情報ほど話題になりやすい)、ステレオタイプ脅威(ネガティブなステレオタイプを意識しすぎて実際にパフォーマンスも下がる)、35.外集団同質性バイアス
15.保有効果/授かり効果
【endowment effect】自分がいったん保有したものや投資したものに対して、過大評価すること。
クルマの無料試乗キャンペーンで、一定期間でも試乗してしまうと愛着が湧いてしまうのがその例。
「返品無料」の通販商品でも、いったん手に入れたことで手放すのが惜しくなる。断捨離がなかなか進まない一因にもなる。
関連:56.イケア効果
16.認知的不協和理論
【cognitive dissonance theory】認知した内容に矛盾(不協和)があると不快なため、その矛盾を解消しようと努めること。
たとえば、喫煙者にとって喫煙による肺がんリスクは相容れない情報のため不快に感じる。そのため、「長寿の喫煙者もおおぜいいる」などと喫煙を正当化し、不快感を和らげようとする。
また、過酷な労働状況でも「やりがいがあるから」などと自分に言い聞かせ、いつまでも離職しないのも同様といえる。
17.ギャンブラーの誤謬
【gambler’s fallacy】本来はランダムに生じる現象に何らかの法則性を見いだすこと。
これだけ負けが込んだのだからそろそろ大当たりが出るだろうなどと邪推するのがそれにあたる。
投資や賭け事にギリギリまで大金をつぎこんでしまう要因にも。
別名:ギャンブラーの錯覚、賭博者の錯誤
関連:ホットハンドの誤謬(バスケットで連続してシュートを決めると「あの選手は“きてる”」などと考え、さらなる追加点を期待すること)
18.バーナム効果
【Barnum effect】誰にでも当てはまるような曖昧な情報を、自分に当てはまる具体的な情報だと思い込むこと。
「あなたは素晴らしい可能性を秘めている」「もっと自分を変えられます」などと高額な自己啓発セミナーに誘うのがその例。ほかに占いやセールストークなどでも相手の心をつかむテクニックとして使われる。
別名:フォアラー効果、フリーサイズ効果
※本ブログの「バーナム効果」に関する記事はこちら
19.内集団バイアス
【in-group bias】自分が属する集団(内集団)を外の集団(外集団)よりも高く評価すること。
いわゆる身びいきをいう。利益や報酬を分配する際にも内集団に多く分配しがちとなる。
「うちの社員は優秀だ」「日本人は勤勉だ」などとひいき目に見るのがその例。度を超えると差別を助長することにもなる。
関連:35.外集団同質性バイアス
※本ブログの「内集団バイアス」に関する記事はこちら
20.プライミング効果
【priming effect】ある刺激によって、その後の思考や行動が影響を受けること。先行する刺激が呼び水となることから「呼び水効果」ともいわれる。
店内BGMにフランス風の曲が流れていると思わずフランスワインを買ってしまうことがその例。本人が先行刺激に気づいていないこともある。
「みりん」と10回言った後に「鼻の長い動物は?」と聞かれると、思わず「キリン」と答えてしまうのもこの効果から。
21~30位圏 プラシーボ効果やディフォルト効果など
21.同調性バイアス
【conformity bias】周囲の人に合わせて、自分の意見や行動を変えてしまうこと。
周囲に合わせて残業しようとするのがその例。火災警報が鳴っていても、周りの人が避難していないからと自分も避難しないということも起こり得る。
「82.ハーディング効果」とも似ているが、同調性バイアスが単純に周囲の人と同じ意見や行動に合わせようとするのに対し、ハーディング効果は、ハーディング(群れること)から自分が外れる恐れから集団の行動に従う。仲間外れにされないがためにいじめに加担するといったことがそれにあたる。
22.プラシーボ効果
【placebo effect】本来は効果のない偽薬や治療法でも、効果があると信じることで実際に症状が改善されること。「病は気から」といわれるゆえんだろう。
その効果は偽薬や治療法に限らない。仕事やスポーツなどでも「こうすればうまくいく」と思い込むことでパフォーマンス向上につながることもある。
別名:プラセボ効果、偽薬効果
23.現在バイアス
【present bias】将来よりも目先の利益を重視すること。
貯蓄や禁煙、ダイエットなどでは、つい目先の楽しみを優先し、計画的に対処すべき行動が先延ばしされることはよくある。
「今日は休んで、明日から本気でやろう」といった勉強や仕事などの先延ばしも同様。
別名:現在志向バイアス
関連:49.時間割引
24.正常性バイアス
【normality bias】災害や有事の際に、心の平静を保とうとその危険性を過小評価してしまうこと。
非難行動を妨げられることがある。ほかにも車の運転中に速度超過などの危険運転、病院受診の遅延なども引き起こす。
25.心理的リアクタンス
【psychological reactance】自由が制限されると、反発や抵抗を感じ、その自由を回復しようとすること。いわゆる「ダメって言われると、やりたくなっちゃう」心理をいう。
ダイエット中にケーキが食べたくなるのがその例。「~しなさい」と高圧的に言われると従いたくなくなるのも同様。
類似のバイアスに「カリギュラ効果」がある。こちらは禁止されることでかえって興味が湧くといったニュアンスがある。「再入荷待ち」の商品や「R-18指定」の映画に興味がそそられるのがそれにあたる。
26.錯誤相関
【illusory correlation】直接的には関係のない2つの事象に誤って関連性を見いだすこと。
空間的・時間的に近い事象がとりわけ錯誤の対象になりやすい。
「雨男」「晴れ女」「黒猫は不吉」などがその例。単なる偶然の一致を因果関係と誤認してしまう。「試合に勝った」「いい点がとれた」など一度うまくいったゲン担ぎをやめられなくなるのもこの錯誤から来る。
また、壁のしみや雲の形が人や動物の顔などに見える「パレイドリア現象」も同様。
本来の要因(潜伏変数)に意識を向ける妨げになってしまう。
関連:疑似相関(本来は因果関係がないのに、潜伏する別の要因が働くことから、因果関係があるかのように見えること)
27.メンタル・アカウンティング
【mental accounting】人は無意識のうちに用途によってお金を分類しており、それらのどの分類なのかによって損か得かの判断も変わること。
同じ金額でもコツコツ貯めたお金は大事に使い、宝くじで当てたお金は散財することがそれにあたる。
別名:心の会計
関連:84.ハウスマネー効果
28.ディフォルト効果
【default effect】設定されている初期値(デフォルト)の選択肢をそのまま受け入れてしまうこと。人は本来、何も選ばなくてもいいことを好むことから生じる。
ECサイトで「メルマガの配信を希望する」の同意ボタンに予めチェックが入っており、高い確率でそのまま受け入れるのがその例。
死後の臓器提供でも提供することが基本設定になっている国もある(希望しない場合のみ意思表示する「オプトアウト」方式)。
別名:初期設定効果、初期値効果
関連:10.現状維持バイアス
29.自己奉仕バイアス
【self-serving bias】自分の行動や結果を自分に都合のよいように解釈すること。
成功は自己の能力のおかげで、失敗は環境や他人のせいと考えるのがその例。グループワークによる成果であっても自分の貢献度を過大評価してしまいがちとなる。
客観性を欠いた自分勝手な解釈に思えるが、自尊感情を保つのにプラスに働くという利点もある。
別名:セルフ・サービング・バイアス
30.誤帰属/錯誤帰属
【misattribution】出来事や事件など事象の原因を本来とは別のものに取り違えてしまうこと。
吊り橋を渡る際のドキドキを同行者への恋愛感情と勘違いしてしまう「吊り橋効果」がよく知られる。閉じるボタンが無効のエレベーターで自分が押したから閉まったと錯覚するのも同様。
別名:帰属バイアス、アトリビューション・バイアス
関連:58.吊り橋効果
31~40位圏 ピーク・エンドの法則や希少性バイアスなど
31.ピーク・エンドの法則
【peak-end rule】過去に経験した出来事を評価する際、ピーク(絶頂期)とエンド(最後)の印象で良し悪しをほぼ決めてしまうこと。
「終わりよければ全てよし」はその一端を突く。映画でもクライマックスとラストの印象が全体の作品評価を大きく左右するといわれる。
関連:55.初頭効果
32.楽観バイアス
【optimism bias】自分の身の回りや将来について良いことばかりが起こると楽観すること。
試験前に勉強不足なのに「きっと大丈夫」などと慢心するのがその例。現実を直視せず先行きを甘く見積もる懸念もあるが、一方でポジティブにとらえることで挑戦を促し、成功を呼び寄せる力にもなる。
関連:45.計画錯誤
33.極端回避性/松竹梅効果
【extremeness aversion】リスクを過剰に避け、中庸な選択を好むこと。
「松」「竹」「梅」や「特上」「上」「並」などランクの違う3つの選択肢が与えられると、両端を避け、真ん中を選びがちとなる傾向をいう。
マーケティングでもよく使われ、本当は一番下のランクでも十分満足できる人にも、真ん中を選ばせるといった試みがそれにあたる。
関連:ゴルディロックスの原理(童話でゴルディロックスという少女が三種のお粥を味見したところ、熱すぎるのも冷たすぎるのも嫌で、ちょうどよい温度のものを選んだことに由来)
※本ブログの「極端回避性」に関する記事はこちら
34.フォールス・メモリ/虚記憶
【false memory】実際には起こらなかったことを起こったこととして記憶してしまうこと。
事実と異なる目撃証言の原因の1つとなる。「言った、言わない」の水掛け論を引き起こすことも。
別名:過誤記憶、記憶錯誤
関連:事後情報効果(後から入ってきた情報によって記憶が書き換えられること)
35.外集団同質性バイアス
【outgroup homogeneity bias】自分が属していない集団(外集団)のメンバーたちがみな同じように見えること。個人の違いはあっさりと見落とされてしまう。
他のクラスの生徒たちはみんな頭がよさそう、運動が得意そうなどとおしなべて見てしまうのがその例。
同じ人種の顔はわかるのに他人種の顔が見分けられない「他人種効果」を引き起こすことも。
ときに集団間で対立を生む要因にもなる。
別名:外集団均質性バイアス
関連:14.ステレオタイプ、19.内集団バイアス
36.根本的な帰属の誤り
【fundamental attribution error】他者に起きた出来事の原因をその人の内面に求めること。その人の性格や能力の問題だとみなし、ほかの外的な要因に目を向けようとしなくなる。
学業成績の悪い学生はひとえに本人の怠慢や知的能力の低さのせいとみなすのがそれにあたる。家庭環境などの背景的要因が見落とされてしまう。
貧困を個人の自己責任の問題に帰するのも同様。構造的な格差が棚上げされてしまう。
別名:基本的帰属錯誤、基本的な帰属のエラー
関連:対応バイアス(ある行動が、その人の性格や態度と対応しているように感じてしまうこと)、52.行為者ー観察者バイアス、97.究極の帰属の誤り(個人レベルの帰属バイアスである「根本的な帰属の誤り」を集団レベルに拡張したもの)
37.希少性バイアス
【scarcity bias】手に入りづらいものほど価値があると感じること。
セールで数量限定のものを見ると、つい買ってしまうのがその例。オンラインショッピングでも「残りわずか」などと表示があるとついクリックしてしまう。
自由を制限されると、その制限された対象への欲求が強まる「心理的リアクタンス」によって引き起こされる。
さらに「今ここで手に入れなければ、手に入れる機会を失う」という損失回避の心理も働く。
38.権威バイアス
【authority bias】権威のある人から指示や説得を受けると無条件に従ってしまうこと。
社会的地位や肩書、学歴、受賞歴などにとらわれやすく、医師の誤った指示に看護師が従ってしまうのもその例の1つ。
テレビ広告で白衣を着用して登場すると、それだけで医師や科学者がイメージされ、その権威性によって商品の信頼感が増すのも同様。
39.確実性効果
【certainty effect】確実な結果をもたらす選択肢をより強く好むこと。
たとえば、ワクチン接種後の重篤な副作用の発生頻度が「ゼロではない」などと聞くと、接種を一切拒むのがその例。リスクを過大評価してしまう。
関連:ゼロリスク幻想(ゼロリスクが当然と思う心理)
40.ツァイガルニク効果
【Zeigarnik effect】未完了のタスクや課題のほうが、完了したものよりも記憶に残りやすいこと。
パズルなど20種類もの課題を与えた実験では、途中で強制的に中断させた人たちのほうが、完了した人たちよりも課題内容を覚えていたという。
仕事をあえて「きりの悪い」ところで終えたほうが効率が上がるのもこの効果から。強く記憶に残るため、さっさと終えてすっきりしたいという気持ちになる。
41~50位圏 傍観者効果やグループシンクなど
41.連言錯誤/連語錯誤
【【conjunction fallacy】事象Aと事象Bが一緒に起こる確率を、単に事象Aだけが起こる確率よりも高く見積もること。
「連言」とは「AかつB」のように2つの事象を「そして」「かつ」(英語はand)などで結んだものをいう。
よく知られるのが「リンダ問題」で、リンダは「大学時代に社会正義や反核運動に関心があった聡明な31歳の独身女性」と聞かされると、そのイメージに引っ張られ「リンダは銀行の窓口係(事象A)」よりも「リンダは銀行の窓口係で、フェミニスト運動家(事象Aかつ事象B)」である確率のほうが高いと判断してしまう。
関連:02.代表性ヒューリスティック
42.傍観者効果
【bystander effect】緊急の事態に遭遇した際、周囲に人がいるほど助けようとする行動が取られにくくなること。
自分がやらなくても誰かがやってくれるだろうと考える責任の分散や、みんなが平然としている中、自分だけが援助行動を取るのをためらう(多元的無知)といった心理が背景にある。
女性が暴漢に襲われ殺害された事件で、38人もの目撃者がいながら誰1人助けなかったことがきっかけで研究が進んだ。目撃者の数が増えるほど通報を決断するまでの時間が延びることを実証した実験もある。
関連:21.同調性バイアス、94.多元的無知
43.ダニング=クルーガー効果
【Dunning-Kruger effect】能力が低い人ほど、自分の能力を過大評価しやすいこと。
成績が劣る人が自分の能力を高く見積もる傾向にあったという調査研究から来ている。
家の修理や家具の組み立てがたまたま上手くできたことで「自分はDIYの才能がある」と過信するのがその例。学生バンドが文化祭などで喝采を浴び、プロのミュージシャンになれると確信するのも同様。
ソクラテスのいう「無知の知」(「自分はなにも知らない」ということを知っている)を欠くことが要因という。
44.自信過剰バイアス
【overconfidence bias】明確な根拠もないのに自分の能力や知識を過信すること。
自信過剰から甘く見積もったり、注意を怠ったりすることでパフォーマンスにも影響を与える。
投資の運用成績では女性より男性のほうが自信過剰になりやすく、投資に失敗しやすいという調査報告もある。
45.計画錯誤/計画の誤謬
【planning fallacy】何かの計画を立てる際、その遂行に要する時間や予算、労力などを少なく見積もってしまうこと。
半日で終わると思っていた引っ越し作業が結局一日中かかったというのがその例。「まだ始めなくても大丈夫」などと先延ばしを引き起こすことにも。
状況を楽観的にとらえる「楽観バイアス」が働くことが主たる要因。
関連:32.楽観バイアス
※本ブログの「計画錯誤」に関する記事はこちら
46.平均への回帰/回帰の誤謬
【regression to the mean】極端な結果が次第に平均に戻るという「平均への回帰」の統計的現象に対して、誤った因果関係を見いだすこと。
試行回数を増やすと、たとえ一時は極端な値に振れたとしてもやがて平均的な値に自然に収束することを「平均への回帰」という。たとえば、スポーツチームが連勝し、選手や監督の実力が盛んに称えられるが、その後は平均への回帰で不調に陥るというのがそれにあたる。
新人選手の「2年目のジンクス」はここから来る。最初の年はたまたま非常に高い成績に恵まれたが、その後の成績が平均に近づくのは自然な統計的現象。しかし、そこにあたかも2年目というタイミングに何か特別な力が働いているかのように感じてしまう。
47.少数の法則
【law of small numbers】少ないサンプル数から得られた結果を正しいと判断してしまうこと。単なる偶然の偏りに過ぎないことを全体の傾向であるかのように錯覚する。
サンプル数が僅少にもかかわらず口コミ評価やユーザーの声を鵜呑みにするのがその例。「顧客満足度90%」という広告コピーもそのサンプル数を一度は疑ったほうがよい。
統計学の基本原則である「大数の法則」にちなんで命名されている。「大数の法則」とは、コイントスなど試行回数が多くなるにつれて結果の平均が真の確率に近づくことをいう。
48.集団浅慮/グループ・シンク
【groupthink】自分でよく考えて判断せず、属する集団の判断に同調してしまうこと。
結束が強く多様性に乏しい集団ほど合理性を欠いた決断に陥りやすい。
集団の一体感を保とうと反論するのを控えたり、その結束力ゆえに外部の意見に耳を傾けなくなったりすることなどが要因。
ベトナム戦争やキューバ侵攻、ウォーターゲイト事件、スペースシャトル「チャレンジャー号」の爆発事故などの一因にもなったとの指摘もある。
49.時間割引
【temporal discounting】将来の報酬よりも、今すぐ手に入る目先の報酬を優先してしまうこと。
同じ10万円でももらえるのが先になるほどその価値が割り引かれて感じられる。この目減りする比率を「時間割引率」という。
たとえばダイエットであれば、「将来の健康」という価値は割り引かれ、目先のスィーツのほうに高い価値を感じてしまう。
「今」の楽しみを優先するため、夏休みの宿題や禁煙、貯蓄などの妨げにもなる。
この時間割引率が一定ではなく、時間とともに変化することを「双曲割引」という。近い将来の報酬ほど割引率が高く、遠い将来の報酬ほど割引率が穏やかになる。要は「遠い将来なら待てるが、近い将来ならば待てない」ということ。
たとえば、「今すぐ1000円もらえる」のと「1週間後に1100円もらえる」のとでは、多くの人が「今すぐ1000円をもらう」ほうを選ぶ。一方、「1年後に1000円もらえる」のと「1年と1週間後に1100円もらえる」のとでは多くの人が「1年と1週間後に1100円をもらう」ほうを選ぶ。このように近い将来の利益に対してはよりせっかちとなるが、遠い将来の利益に対してはそのせっかちさは穏やかになる。
関連:23.現在バイアス
50.公正世界仮説
【just-world hypothesis】世の中は公正にできていて、人の行いにも公正な結果が常に跳ね返ってくると信じること。善行には善報、悪行には悪報があってしかるべきとの前提に立つ。
そんな公正な世界で不幸なことが起きるはずもなく、仮に犯罪の被害に遭ったとすれば、被害者側にも落ち度があったと考えてしまう。生活困窮者に対しても同様で自己責任に帰する問題とされてしまう。
別名:公正世界信念
51~60位圏 イケア効果やリスキーシフトなど
51.透明性の錯覚
【illusion of transparency】自分が考えていることや感じていることが実際以上に他者に見透かされていると思い込むこと。
スピーチの際、自分の緊張が聞き手に明らかに伝わっていると思い込むのがその例。実際はそんなことはなく、思い過ごしだったということもよくある。
自分が話している内容が聞き手に十分に理解されていると思いきや、実際には十分に伝わっていなかったというのも同様。特定の分野について深い知識を持つ専門家はその知識を自明のこととして説明しがちで、一般の人にわかりにくいことはよくある。
別名:透明性錯誤
関連:67.スポットライト効果
※本ブログの「透明性の錯覚」に関する記事はこちら
52.行為者ー観察者バイアス
【actor-observer bias】自分の行動の原因は環境や状況などの外的要因に求め、他者の行動の原因は性格や努力など内的要因に求めること。
自分が遅刻した際は不可抗力で、他者が遅刻すると「時間にルーズだからだ」などと解釈するのがその例。
関連:36.根本的な帰属の誤り
53.集団極性化/リスキーシフト
【group polarization】集団で行う意思決定が個人で行うよりも極端な結論に偏りやすくなること。
より急進的でリスキーな結論に偏る場合はリスキー・シフト、より保守的で慎重な結論に偏る場合はコーシャス・シフトという。
集団内では極端な意見を持つ人に注目が集まりやすく、個人の責任も分散されるため、安易に同調してしまうことがその要因。
54.フォールス・コンセンサス
【false consensus effect】自分の意見や考え方はしごく一般的で、周囲の人たちも「みなそう思っている」と思い込むこと。
「フォールス・コンセンサス(偽りの合意)」とは実際には存在しない合意が、あたかもあるかのように感じることをいう。たとえば自分の政治的意見は広く合意がなされていると信じるのがそれにあたる。
気に入ったドラマがあると「このドラマを見ていない人なんていないよね?みんな見てるに決まってる!」などと思い込むのも同様。
SNS上では「自分の意見が正しい」と思う人同士がつながりやすく、そのことでよけい確信を強めることになる。他者を排斥する言動を招くことさえある。社会の分断の一因になっているとの指摘もある。
別名:偽の合意効果、合意性バイアス
55.初頭効果
【primacy effect】最初に提示された情報が記憶に残りやすく、その後の判断や印象形成に影響を与えること。
見た目の第一印象がその人全体の人物像を左右してしまうのがその例。面接や商談では最初の「つかみ」が大事と言われるのはこの効果から。
呈示された情報の位置が記憶に影響を及ぼす「系列位置効果」の1つで、逆に最後に提示された情報が思い出しやすくなるのを「親近効果」という。
関連:31.ピーク・エンドの法則
56.イケア効果
【IKEA effect】自分で作ったものや苦労して手に入れたものは価値があると感じること。
自分で組み立てるイケアの家具が名前の由来。既に費やした費用や労力、時間などを指すサンクコスト(埋没費用)が価値づけにかかわる。
「水に混ぜるだけ」のホットケーキミックスを「卵や牛乳を混ぜる」という仕様に変えたところ、ひと手間かけた感が生じることから売り上げがアップした例がある。
自分で作るプラモデルや「たまごっち」などの携帯型育成玩具も同様の効果が生じやすい。
関連:15.保有効果
57.知識の呪縛
【curse of knowledge】いったん知識を持つとその知識を持たない人の立場で物事を捉えにくくなること。そのぐらいのことはわかるだろうと高をくくってしまう。
医師が患者に説明をするときなどがその典型。「名選手」が必ずしも「名監督」にはなれない理由の1つといわれることも。
この呪縛の裏付けとして「タッパー・リスナー」実験がよく知られる。誰もが知る有名な曲を指でタップして相手に当てさせると正解率が著しく低かったという。
58.吊り橋効果
【suspension bridge effect】不安や緊張など強い感情を伴う状況で、その感情を相手への好意と誤認すること。
高い吊り橋を渡る際のドキドキ感を異性に対する恋愛感情と勘違いしたという、よく知られた「吊り橋実験」に由来する。
吊り橋以外にも、遊園地の絶叫マシーンやホラー映画鑑賞、音楽フェスなど心拍数が上昇する経験は総じて同様の効果を生む。
関連:30.誤帰属/錯誤帰属
59.コントロール幻想バイアス
【illusion of control】自分が自分の状況をコントロールできていると思い込むこと。
本来は自分の努力や能力だけではどうにもできないことであっても影響を与え得ると考えてしまう。
「絶対に自分のことを好きだ」などと脈のない相手に盛んに言い寄るのもこの幻想が災いしている例。「自分は投資の才能がある」などと投資に熱を上げるのも同様。
また、宝くじを買う際、当たりくじをたくさん出した売り場から買おうとするのもやはりこの幻想から(本来は宝くじ1枚あたりの当たる確率は売り場ごとで変わらない)。
60.ネガティビティ・バイアス
【negativity bias】良いことよりも悪いことのほうが強く印象に残りやすく、判断や意思決定においてネガティブな情報により大きな影響を受けやすくなること。
多くの人がポジティブな口コミよりネガティブな口コミに強く反応するのがその例。よいことは3人に伝えるが、悪いことは33人に伝えるという「3:33の法則」の俗説に通ずるところがある。
人がネガティブな情報に敏感なほうが生存に有利だったことに由来するという。
関連:ドゥームスクローリング/doomscrolling(スマホやPCなどでネガティブなニュースや情報を延々と読み続ける)
61~70位圏 コントラスト効果やピグマリオン効果など
61.生存者バイアス
【survivorship bias】困難を乗り越え成功した例のみに注目し、失敗した例を無視すること。
個人投資家の成功術や難関試験合格者の体験談などを、自分も真似れば成し遂げられそう気になってしまう。
しかし、実は失敗例にも反面教師となる重要な要因が隠されていることもある。
その端的な例として第二次世界大戦時の戦闘機の研究がよく知られる。「帰還した戦闘機」の被弾が集中する箇所を補強するという対策がいったんは提案されたが、実際は「撃墜された飛行機」の被弾箇所も考慮すべきだったというもの。生存者バイアスが周知されるきっかけとなった。
62.コントラスト効果/対比効果
【contrast effect】2つ以上の物事を比較した時に、実際の差よりも大きな差として感じられること。何と対比させるかで見え方が大きく変わる。
高価な商品(見せ筋)と並べると、中価格帯の商品(売れ筋)でも安価に見えるのがその例。
視覚、聴覚、味覚など五感レベルでも効果は発揮され、スイカに塩をかけてスイカの甘みを引き立てるのもその1つ。
関連:07.アンカリング、75.おとり効果
63.返報性
【reciprocity】人に何かをしてもらうと、自分も何かお返しをしたくなること。人が持つ普遍的な心理の一つ。
誕生日に友人からプレゼントをもらったら、その友人の誕生日には自分もプレゼントを渡したくなるのがその例。スーパーなどで試食を勧められ、つい買ってしまうのも何かを返さなければならないと感じることから来る。
説得術の1つに、最初に相手に大きな要求を伝えて「ノー」と言わせ、心理的な負債を感じさせた後に小さな要求に断りにくくさせるというテクニックがある。「ドア・イン・ザ・フェイズ」と呼ばれるが、返報性の原理を応用している。
64.信念バイアス
【belief bias】すでに持っている信念や価値観に基づいて判断すること。
相容れない意見は理論的に正しいことでも排除してしまう。
政治的信念や宗教的な信条などで生じることが多く、たとえ科学的根拠のあるデータでさえも信念を変えることは難しい。
偽情報や陰謀論がまかり通るのもこのバイアスが一役買う。
65.自己中心性バイアス
【egocentric bias】自分の視点や考え方を基準に物事を判断してしまうこと。
自分の視点に偏りすぎて、相手を客観的に理解することができなくなってしまう。相手が自分と同じように感じていると思い込むことも。
自分がもらって嬉しいものを、他人も同様に嬉しいと思い込むのがその例。ビジネスやゲームなどでも、自分が見えている状況が他人にも見えていて当然と決めつけるのも同様。
自分のほうが正しいと過信することを「自己中心的公正バイアス」、自分がターゲットになりやすいと過信することを「自己ターゲットバイアス」などにさらに枝分かれする。
66.二分法の誤謬
【false dichotomy】実際は多くの選択肢やグレーゾーンがあるにもかかわらず、白か黒か、全か無か、敵か味方など二者択一的に簡略化して考えること。
結果的に考慮すべき選択肢が抜け落ちてしまう。
セールスの現場ではこの誤謬を逆手にとった「誤前提暗示」の手法が使われる。「どちらを買うか?」と迫り、「買わない」という選択肢を前提から排除してしまう。
別名:全か無かの(オール・オア・ナッシング)思考、白黒思考
※本ブログの「二分法の誤謬」に関する記事はこちら
67.スポットライト効果
【spotlight effect】自分が他者から過度に注目されていると感じること。
人前で発表中に、誰も自分の小さなミスに気づいていないのに、「みんな見ていたはず」と恥ずかしく感じるのがその例。
普段とは違う服装や髪型のつもりでも周囲はさほど気にとめていないというのもこの効果から来る。
関連:51.透明性の錯覚
68.ピグマリオン効果
【pygmalion effect】周囲に期待をかけられると、その期待に応えようと努力し、実際に成果を上げてしまうこと。監督が選手に対して「君はチームのエースになれる」と期待をかけると、選手は自信を持ち、練習に励み、パフォーマンスが実際に向上するというのがその例。
教師から期待をかけられた生徒の成績が実際に伸びたという実験結果もある。
別名:ローゼンタール効果
関連:72.予言の自己成就、ゴーレム効果(他人からの期待が低いと、その期待に添うようにパフォーマンスが低下すること、ピグマリオン効果の対義語)
69.コミットメント
【commitment】一度決めたことに対して一貫して従おうとすること。
コミットメントには関与、公約、責任といった意味がある。ダイエットなどの目標を周囲に公言することでモチベーションが高まるのはこの原理が一役買っている。
一方で、一貫した行動への過度な執着を生むこともある。たとえ決めたことが間違いだと気づいても、撤回をやたらと拒んだり、正当化のためにさらなるリソース(時間、金銭、労力など)を割き、結果的に大きな損失を被ることにもなる。
別名:一貫性の原理
関連:04.サンクコスト効果、コミットメント・コンファーメーション(一度決めたことを正当化するために、それに合致する情報ばかりを集める)、コミットメント・エスカレーション(一度決めてしまうと、損失が出ているにもかかわらず、さらに投資や労力を続けてしまう)
70.選択肢過剰効果
【choice overload effect】選択肢が多すぎると、意思決定に時間がかかり、満足度が低くなること。
高級スーパーの試食コーナーで6種類のジャムを並べると立ち寄った客の30%が購入したが、24種類では3%が購入したに過ぎないというジャムの実験が有名。
実際、P&Gが26種類ものラインアップがあったシャンプーを15種類に絞り込んだところ、売り上げが10%上昇した例もあるという。
別名:ジャムの法則、決定麻痺
71~80位圏 予言の自己成就やおとり効果など
71.変化盲/非注意盲
【change blindness/inattentional blindness】別のことに気をとられていると、たとえ視界に入っていても環境の変化に気づかなくなること。
友人の髪型が変わっても気づかないことなどがその例。部屋の家具や装飾品の配置が変わっても気づかない、歩行中に視界に入ったはずの広告や看板の存在を見落とすといったことも同様。
「見えないゴリラ実験」がよく知られる。複数人がバスケットボールをパスし合う短い映像で、被験者がパスの回数を数えるのに集中していると、映像の途中に着ぐるみのゴリラが横断しても気づかなかったという。
別名:非注意による見落とし、チェンジブラインドネス
※本ブログの「変化盲」に関する記事はこちら
72.予言の自己成就
【self-fulfilling prophecy】根拠のない予言(思い込みや期待の類い)が、自身の行動や周囲の環境を変え、結果的にその予言が実現してしまうこと。
一種の自己暗示で、無意識のうちにそのイメージに沿って自分の行動を方向づけることから起こるという。
根も葉もない噂や風聞から、トイレットペーパーの買いだめ騒動や銀行の取り付け騒ぎが実際に起きている。
「言霊(ことだま、言葉に魂が宿るとされる思想)」や「噓から出た実(まこと)」に通ずるところがある。
関連:68.ピグマリオン効果
73.バックファイア効果
【backfire effect】自分の意見や信念に相容れない情報を突き付けられると、よけいに自身の考えに固執してしまうこと。バックファイアには本来「逆火」や「裏目に出る」などの意味がある。
ワクチン接種の安全性を示す科学的根拠が示されても、かえって有害だという信念を強めてしまうのがその例。自分の持つ信念と矛盾する情報に直面すると、「認知的不協和」という心理的な不快感が生じ、それを解消しようとするからだという。
SNS上でフェイクニュースや陰謀論が拡散される要因にもなり得る。
関連:01.確証バイアス、16.認知的不協和理論、敵対的メディア認知(中立的な報道であっても自分の意見とは相反する立場に偏向していると思い込む)
※本ブログの「バックファイア効果」に関する記事はこちら
74.選択的アーキテクチャ
【choice architecture】選択肢の提示の仕方に工夫が施され、人々を望ましい選択へと導くよう設計されたシステムや構造のこと。アーキテクチャはもともと建築様式や構造を意味する。
たとえば、カフエテリア方式の大学の食堂でサラダバーを中央に設置することで学生たちの野菜の摂取量が増えるといったことがそれにあたる。レジ袋の有料化も自発的なエコバック持参という選択を導いたのも同様。
75.おとり効果/デコイ効果
【decoy effect】選択肢の中に明らかに劣った選択肢(おとり)が加わることで、当初迷っていた選択肢の一方がより魅力的に思えること。
マーケティングでは本来選ばれにくい選択肢に消費者を誘導するのに使われる。
経済誌「エコノミスト」の購読プランを扱った実験がよく知られる。「ウェブ版のみ:59ドル」と「印刷版とウェブ版のセット:125ドル」の選択肢では圧倒数が「ウェブ版のみ」を選んだ。
ところが、そこに「印刷版のみ:125ドル」(←セットと同額)の選択肢を加えると、相当数が「セット版」に流れたという。「印刷版のみ」を選んだ人は当然皆無だったが、おとりとしての役割を果たしたことになる。
関連:07.アンカリング、62.コントラスト効果
76.参照点依存性
【reference dependence】事物の価値や大きさを見積もる際、(絶対的な価値ではなく)何らかの基準と比較して判断すること。何を基準にするかで得か損かなどの評価が大きく変わる。
半額セールでは元の値段が基準点となるのがその例。また、スーパーのレジ前で既に4~5千円を支払い覚悟でいるとき、その金額が基準となり、レジ前に並ぶガムや電池などを衝動買いしてしまうの同様。
また、クルマや住宅など大きな買い物をした後についオプション品に出費してしまうこともある。
なお、プロスペクト理論では、利益や損失に対する価値の感じ方をグラフ上に曲線であらわすが、ちょうどその中心となる点を「参照点」という。
関連:62.コントラスト効果、75.おとり効果
77.モラル・ライセンシング
【moral licensing effect】社会的に望ましい行動をとった後に少しぐらいなら悪いことをしてもかまわないだろうと思ってしまうこと。
善行を積んだことで免罪符をもらった気になることから免罪符効果とも言われる。
ボランティア活動をした後につい普段より多めに買い物をしたり、運動をした後に甘いものを食べたりすることがその例。
マクドナルドではヘルシーなメニューと組み合わせることでビックマックの売り上げが伸びたという事例もある。
別名:モラル信任効果、免罪符効果
※本ブログの「モラル・ライセンシング」に関する記事はこちら
78.システム正当化バイアス
【system justification bias】現状の社会システムが、たとえ格差や差別、不平等などをはらんでいても、それを正当なものとして受け入れ、維持しようとすること。
現行システムがそれなりに機能していると思い込むことで精神的な安定が得られることがその動機づけとなる。
長時間労働に対しても「日本社会の美徳」「いつか報われる」などと言い聞かせ、現状を打破するよりも耐え忍ぼうとするのがその例。今なお、性別役割分業意識が容認される一因にもなっている。
別名:システム正当化理論
※本ブログの「システム正当化バイアス」に関する記事はこちら
79.機能的固執/機能的固着
【functional fixedness】モノの機能や使い方など、慣れ親しんだ習慣や知識にとらわれてしまい、柔軟な発想で問題解決できなくなること。
その代表例である「ロウソク問題」では、「マッチ箱=入れ物」という固定観念に縛られ、マッチ箱を「ろうそく立て」に使用するという発想が思いつかなくなってしまう。
実際の例では、保湿用リップクリームを「指のささくれ防止」や「靴擦れ防止」に使うのをなかなか思いつかないといったことがある。
英語の慣用的な表現に「think outside the box(固定観念や既成概念にとらわれず、自由に発想する)」があるが、まさに機能的固執を戒める言葉といえる。
大谷翔平選手の座右の銘「先入観は可能を不可能にする」にも通ずる。
80.セルフハンディキャッピング
【self-handicapping】自分が失敗しても言い訳が立つように、あらかじめ不利な状況をつくっておくこと(=自分にハンディキャップを課す)。
たとえばテストの前に掃除をしたり、大事なプレゼンの前に夜更かししたりする。
いずれも結果がよくなかったときの逃げ道となり、少なくとも自尊心を保つ手段にはなる。
81~90位圏 選択的注意やハウスマネー効果など
81.選択的注意
【selective attention】周囲の情報から、自分が注意を向けている情報のみが選択され、他の情報は無視されてしまうこと。
ざわついたパーティ会場でも、少し離れたところで自分について話しているのが不思議と聞き取れる「カクテルパーティ効果(地獄耳効果)」がその例。
運転中の「ながらスマホ」が危険なのも情報が無意識のうちに選別されることから来る。
関連:カクテルパーティ効果、バーダー・マインホフ現象(ある特定の情報や事象を一度知ったり気づいたりした後に、その情報や事象が短期間に頻繁に目に入るようになる現象)
82.ハーディング効果
【herding effect】周囲の人々の行動や選択を真似て同調することで安心を得ようとすること。ハーディングは動物「群れ」を意味する言葉。
就職活動で周囲の学生と同じ服装を選んでしまう、SNSで「いいね」が多くついた投稿を見ると自分も「いいね」をしてしまうなどがそれにあたる。
同調性バイアスやバンドワゴン効果と似ているが、ハーディング効果は「集団から孤立することへの恐れ」が根本の動機づけになっている点でややニュアンスが異なる。
自己ハーディングというのもあり、こちらはこれまでとってきた過去の一連の行動(行動の群れ)を正しいと信じ、考えることもなく半ば無意識的に習慣化してしまうことをいう。
関連:21.同調性バイアス
83.社会的証明
【social proof】多くの人が支持する行動や考えであることを根拠に正しさを判断すること。
特に不確実な状況で、ほかの人たちが何をしているかが正しさの手がかりとなりやすい。
お笑い番組で「録音笑い」があるとつられて笑ってしまうのがその例。「一番人気」「売れてます!」の広告表示やAmazonの「Amazon’s Choice」なども同様の原理を突いている。
関連:11.バンドワゴン効果
84.ハウスマネー効果
【house money effect】思いがけないお金(不労所得や臨時収入など)を手にしたときに、普段より浪費しやすくなること。「どうせあぶく銭!」といった心理が働く。
「メンタルアカウンティング(心の会計)」の一種。残業代で貯めたお金は大事に使うのとは真逆の心理といえる。
関連:27.メンタルアカウンティング
85.確率加重関数
【probability weighting function】客観的な確率を額面通り受け取らず、主観的に重みづけをして解釈してしまうこと。
低い確率の出来事(たとえば、宝くじに当たる確率)は実際の確率よりも高く評価したり、高い確率の出来事(手術が成功する確率)を実際の確率よりも低く評価したりする。
それによってリスク許容度も変化し、当たる確率の低い宝くじは「自分なら当てられるかもしれない」などとリスク追求型となり、成功率の高い手術に対しては自分が受けるとなると不安が募り、リスク回避的となる。
関連:12.プロスペクト理論
86.価値関数
【value function】利益や損失に対する価値の感じ方をグラフ上に数値化したもの。損失のほうが同程度の利益よりも、強い心理的インパクトをもたらすことを示す。
価値関数は縦軸と横軸の座標上に曲線を描く形で表される。横軸は中心点(参照点)を境に、左側は損失、右側は利益とする。縦軸は価値の感じ方のインパクト。
価値関数は逆S字に近いカーブとなり、損失側では急峻な曲線を描き、利益側では緩やかな曲線となる。これは利益に対する価値の感じ方が、損失に対する価値の感じ方よりも小さいことを意味する。つまり、1万円を得ることよりも、1万円を失うことの方が、より大きな心理的インパクトを与えるということ。
得る喜び(緩やかに増加)より失うダメージ(急激に減少)が大きいという損失回避性が視覚化されることになる。
関連:12.プロスペクト理論
87.基準率の無視
【function base rate neglect】ある事象が起こる確率を示す「基準率」を無視し、後から出てきた目立つ情報に引きずられて判断してしまうこと。
読書好きで物静かなAさんが「セールスマンか図書館員か」を当てさせると、多くの人が図書館員と答えるのがそれにあたる。世の中にはそもそもセールスマンが圧倒的に多いという基準率を無視してしまう。
ほかにも、40代で乳がんにかかる比率は一般に低いにもかかわらず、この基準率を無視し、乳がん検査で陽性反応が出ると確実にかかっている思い込むのも同様。
しかし、実際は検査精度にも限界があり、陽性的中率(結果が陽性の人のうち、乳がんかかっている人の比率)は想像するよりずっと低い。むしろ擬陽性(検査で陽性でも実際はかかっていない)である可能性のほうが高くなる。
別名:基準率錯誤、事前確率の無視
関連:06.代表性ヒューリスティック、07.アンカリング
88.チェリーピッキング
【cherry picking】自らの主張に有利な証拠のみを選び取り、それと矛盾する証拠(不都合な真実)を隠したり無視すること。
日本語でいう「いいところ取り」に近い。ダイエット食品の広告などで成功した人の体験談だけを強調するのもこの心理を巧みに突いている。
関連:01.確証バイアス
89.感情移入ギャップ
【empathy gap】ある状況や出来事に対して強い感情を持つと、それを持たない立場からその対象を客観的に捉えることが難しくなること。
恋愛感情を持ってしまうと相手を冷静に見れなくなる「恋は盲目」の現象がその例。お腹が空いていない時にダイエットを決意するのは空腹時の衝動の強さを甘く見積もるからといえる。
別名:ホット・コールド・エンパシー・ギャップ
90.藁(わら)人形論法
【straw man argument】相手の主張を意図的に歪曲(わいきょく)したり、単純化したりして、本来の主張とは異なる論点で攻撃する論法のこと。論理学系の誤謬の1つ。
一見、相手を論破したかのように見えるが、実際は論点から的外れになっている。
たとえば、「子どもを道路で遊ばせるのは危険」という主張に対し、Bさんが「子どもを家に閉じ込めておくなんて。もっと屋外で遊ばせるべき」と反論するのがそれにあたる。
実際の相手の主張を攻撃する代わりに、容易に反論できるように故意に歪曲化した上で攻撃することから、藁で作った(無力な)人形を攻撃するようすにたとえられた。
別名:ストローマン論法
91~100位圏 グーグル効果や多元的無知など
91.グーグル効果
【Google effect】グーグルに限らずインテ―ネットで調べたことはすぐに忘れてしまうこと。
「グーグルで調べればいい」と安易に考えることが癖になると、脳が記憶をしようとしなくなることから起こるという。
別名:デジタル健忘症
92.平均以上効果
【above-average effect】自分が平均的な人よりも優れていると過大評価すること。
運転技術や料理の腕前、リーダーシップ能力などが平均以上だと思い込むことなどがそれにあたる。
フランス人男性に対し、「あなたは平均的な彼氏よりも優れていると思いますか?」と聞いたところ、84%が「はい」と回答したという。統計的にそれだけ多くの人が平均以上ということはありえない。
別名:レイク・ウォビゴン効果
関連:44.自信過剰バイアス
93.多元的無知/集合的無知
【pluralistic ignorance】集団内の規範に対し、多くのメンバーが反対にもかかわらず、自分以外のメンバーは受け入れていると誤って思い込み、その規範に従ってしまうこと。
結果的に本体は誰もが支持してしない、極めて不人気な規範が維持されてしまうことになる。
童話の「裸の王様」がまさにこの例で、「愚者には見えない服」は、自分には見えていないが、ほかの人には見えていると誰もが思い込んでしまう。
授業中に先生が「質問はありますか?」と尋ねても誰も手を挙げないのは、生徒たちが「ほかのみんなは分かっているのに自分だけ質問するのは恥ずかしい」と感じるからでもある。
多くの社員がすすんで残業しているとの思い込みから、残業規範が根強く残るといったことも起こり得る。
※本ブログの「多元的無知」に関する記事はこちら
94.類似性の法則/類似性認知
【law of similarity】自分と共通点が多い人に対して親近感や好感度を抱きやすくなること。
出身やひいきのチームが同じなどの理由で互いに魅かれ合うのがその例。「類は友を呼ぶ」現象といってよい。
別名:類似性ヒューリスティック
関連:ホモフィリー(同じような属性や価値観を持つ人とつながろうとすること)
95.ナイーブ・リアリズム
【naive realism】自分自身の見方や意見は客観的で正しいものであり、合理的な人であれば同じ結論に達するはずだと思い込むこと。
異なる意見を持つ人たちがいるとすれば、その人たちは情報が乏しいゆえ、非合理的で偏った意見に囚われているなどと歪曲(わいきょく)してしまう。
「あの映画のよさをわからないなんて」「指導の一環で言ったのにパワハラだなんて」といった認識の違いや温度差を生む要因となる。
96.お前だって論法
【Tu quoque fallacy】自分に向けられた主張はいったん棚に上げ、(本筋とは関係のない)相手の欠陥や矛盾を持ち出して打ち負かそうとすること。
論点のすり替えによる反論であり、論理学系の誤謬の1つ。
たとえば、母親が子どもに「ゲームばかりしてないで、もっと勉強しなさい。」といった際、「お母さんだってテレビばかり見てるじゃない!」と反論するのがこれにあたる。
97.究極的な帰属の誤り
【ultimate attribution error】自分が属する集団(内集団)の成功は才能や努力などの内的要因によるものとみなし、外の集団の成功は運や環境など外的要因によるものとみなすこと。
逆に失敗の際は内集団なら「運が悪かった」とみなし、外集団なら「努力が足りない」などと考えてしまう。
「根本的な帰属の誤り」を個人から集団レベルに拡張したバイアスであるが、より身びいき的で、内集団はポジティブに捉え、外集団をネガティブに捉えがちとなる。
差別や偏見、集団間の対立、歴史認識の歪曲などに大きく関わるバイアスの1つ。
関連:14.ステレオタイプ、19.内集団バイアス、35.外集団同質性バイアス、37.根本的な帰属の誤り
98.真理の錯誤効果
【illusion of truth effect】ある情報が何度も繰り返されると、それが真実であると思い込んでしまうこと。
健康食品の広告に何度も触れることでその商品の効果の高さを確信してしまうことがその例。選挙戦における候補者のスローガンや主張も同様。
SNSで繰り返し流布されるとフェイクニュースや陰謀論でさえ真実味を帯びることがある。
99.第三者効果
【third-person effect】他人はテレビや新聞などメディアの影響を受けやすいが自分はそうではないと考えること。
「自分は大丈夫だけど、この報道に他の人は踊らされてしまうだろう」などと思ってしまう。
さらに「みんなが〇〇を信じているなら、自分もそれに従っておこう」などと結局は自分も後追いすることにも。
ある商品の品薄が報じられると、たとえ本人は冷静に受け止めていたとしても、「他の人々はこの情報に影響されて買い占めに走るだろう」と踏んで、買い占めに加担してしまうのがその例。
※本ブログの「第三者効果」に関する記事はこちら
100.敵意帰属バイアス
【hostile attribution bias】相手の言動を敵意や悪意によるものだと解釈してしまうこと。
中立的または曖昧な状況でも、相手が攻撃的な意図を持っていると誤解しやすくなる。
誰かとぶつかってしまったときに「わざとぶつかってきた」「自分に嫌がらせをしようとした」などと思い込むのがその例。
書籍&ネットコンテンツ一覧
ランキングをする際に使用した36冊の書籍&2つのネットコンテンツは以下の通り。
取り上げられ回数が同数で並んだ場合は★印の書籍・ネットコンテンツに重みづけをして再集計し、最終順位を決めた。
その重みづけをした書籍・ネットコンテンツは主に以下の2つの基準で選んでいる。
- 著者・監修者たちが認知バイアスの研究が進む行動経済学や認知心理学、社会心理学、経営学などを専門領域としている。
- 個々の認知バイアスが網羅的に取り上げられている(書籍の場合、全体を貫くテーマによって認知バイアスが著しく選別されていることも多く、それらは重みづけからは除外した)。
- ファスト&スロー 上・下(早川書房、2012)★
- NUDGE 実践 行動経済学 完全版(日経BP、2022)★
- 行動経済学の使い方(岩波書店、2019)
- 知識ゼロでも楽しく読める!行動経済学のしくみ(西東社、2022)★
- サクッとわかるビジネス教養 行動経済学(新星出版社、2021)★
- 行動経済学大全(ナツメ社、2024)
- 行動経済学BEST100(総合法令出版、2024)
- 池上彰の行動経済学入門(学研プラス、2022)
- 行動経済学ってそういうことだったのか!(ワニブックス、2022)
- ゼロからわかる 知らないと損する行動経済学(日本文芸社、2022)
- 認知バイアス事典(フォレスト出版、2021)★
- 認知バイアス事典:行動経済学・統計学・情報学編(フォレスト出版、2023)★
- 認知バイアス大全(ナツメ社、2022)★
- 認知バイアス見るだけノート(宝島社、2022)★
- 私たちは思い込みから逃れられない?(総合法令出版、2022)★
- 文系のための東大の先生が教えるバイアスの心理学(ニュートンプレス、2023)★
- 自分では気づかない、ココロの盲点(講談社、2016)★
- 認知バイアスの教科書(SBクリエイティブ、2023)★
- 認知バイアス:心に潜むふしぎな働き(講談社、2020)
- サクッとわかるビジネス教養 認知バイアス(新星出版社、2023)★
- 「印象」の心理学(日本実業出版社、2021)
- 人の心と行動がわかる社会心理学(大和書房、2024)★
- ゼロからわかる行動科学大全(ナツメ社、2023)★
- Think right(サンマーク出版、2020)
- Think smart(サンマーク出版、2020)
- 思考のトラップ(二見書房、2024)
- 思考の穴(ダイヤモンド社、2023)
- 賢い人がなぜ決断を誤るのか?(日経BP、2021)
- 勘違いが人を動かす(ダイヤモンド社、2023)
- 今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」(同文舘出版、2022)★
- MBA心理戦術101(文藝春秋、2020)
- 図解・最新心理学大事典(秀和システム、2022)
- 「認知バイアス」最強心理スキル45(清流出版、2024)
- 今すぐ君の武器になる 今日から使える心理学(文響社、2024)
- バイアスの心理学(ニュートンプレス、2024)★
- 錯思コレクション100(2024.6参照)★
- 50 Cognitive Biases(TITLEMAX、2024.6参照)