パナソニック ウォールフィットテレビ なぜ口コミで評判なのか?

パナソニック ウォールフィットテレビ
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超薄型の壁掛けテレビ「ウォールフィットテレビ」

2022年11月、パナソニックから超薄型の壁掛けテレビ「ウォールフィットテレビ」が発売される。

壁掛けテレビといえば瀟洒(しょうしゃ)なホテルでよく見かけるイメージだが、パナソニックは同商品の発売を機に一般家庭で眠っていた壁掛けテレビの需要掘り起こしを狙う。

パナソニックの公式サイトには「『壁掛け』を自由に。」「好きな場所にスッキリ壁掛けできる」とあり、その自由度の高さが商品価値の本質のようだ。

「ウォールフィットテレビ」は55V型有機ELディスプレイを採用し、黒の締まった鮮やかな映像が楽しめる。高精細な4KHDRにも対応するという。

価格はオープンだが、チューナー部にHDDを内蔵したタイプが37万円前後で、HDDを省いたタイプが33万円前後になるようだ。

公式サイトにお披露目された設置風景をみると、まずは圧倒的な薄さに驚かされる。

テレビが掛けてあるというより、映像が壁に貼ってある印象だ。

従来の壁掛けテレビは薄型仕様でも壁からけっこうな厚みでせり出していることが多いが、同商品は完璧に壁に溶け込んでしまっている

テレビボードの上にどっしりと置かれ、お茶の間に陣取っていた従来の据え置き型テレビとは隔世の感が禁じ得ない。

従来の「壁掛けテレビ」とはどこか違うのか?

テレビは昭和の昔から、室内の壁に設置されているアンテナ端子の位置が先に決まっていて、そこからケーブルが届く範囲にテレビを設置する必要があった。

したがってソファーやテーブルなどの家具の配置も、結局はそのテレビの設置場所の制約を免れなかったのだ。

パナソニックの「ウォールフィットテレビ」はまずその制約にメスを入れる。

壁に掛けるモニター(テレビ)とチューナーを分離させ、無線伝送技術によってチューナーからモニターへと映像データを送るしくみを採用し、部屋のアンテナ端子の位置に囚われることなくモニターを設置できるようにした。

しかし、配置の自由が得られたとしても、壁掛けテレビにはまだハードルが残る。壁にどう設置するかの問題だ。

住宅の壁は石こうボードが一般的だが、そこにテレビを掛けるとなると、壁の補強などの大掛かりな工事が必要なケースも多く、壁掛けテレビが普及する障壁となって立ちはだかっていた。

「ウォールフィットテレビ」はそこにもメスを入れる。

壁に細いピンを刺して固定する専用の壁掛け金具を開発し、工事も特段不要で気軽に設置できるようにした。

しかも、金具をとめるのに画びょうのような細いピンを使うため、取り外した後の設置穴もほとんど気にならないという。

専用金具は厚みが抑えられており、設置時にはモニターの中に入り込む構造になっている。

パナソニックに公式サイトには、画面から壁までの距離は従来の標準的な壁掛けテレビなら12.6㎝になるのに対し、「ウォールフィットテレビ」なら3.5㎝に収まるとある。

目指したのは「ウォールファニチャー」 壁に溶け込むデザイン

ここまでは壁掛けテレビに伴う障壁解消の話しであり、部屋のスペース等の問題でテレビを壁に掛けたいと希望する層には朗報といえる。

しかし、この「ウォールフィットテレビ」には、部屋にテレビボードを置く十分なスペースがあり、本来は壁掛けを必要としない層をも惹きつける魅力がある。

そのスタイリッシュで近未来的なデザインだ。

薄型設計を徹底させ、高さを抑えた部品を厳選して使ったという。

ボックス型スピーカーを廃し、画面を振動させることで音を出す「画面振動スピーカー」を採用して厚みも抑えている。

マットホワイトで統一されたボディーカラーもすっきりとした印象につながり、いい意味で存在感が抑えられ、従来のテレビとは一線を画す印象だ。

昨今のトレンドにもなっているクリーンでミニマルなスタイルを好む人たちにはこたえられない仕上がりだろう。

「欲しい」という気持ちを触発する力を「ウォールフィットテレビ」のデザインは秘めているといえそうだ。

この薄型化が本体の軽量化にもつながった。標準的な据え置き4K有機ELテレビに比べ約4割も軽くなったのだ。

石こうボードの壁に壁掛け用の金具を固定するのを細いピンで済ませられるのも、この軽量化ゆえなのである。

また、モニターの電源ケーブルにもこだわりがうかがえる。

チューナーと分離しているため、モニターは電源ケーブルをコンセントに接続するだけでよい。従来の配線のゴタゴタ感が一掃されている。

電源ケーブルのモニターの裏で長さを調節でき、ケーブルをコンセントにさす接続部も、小ぶりの丸みを帯びたデザインで壁と同化しているようにみえる。

細部のケーブルマネジメントまで手を抜くことはないのだ。

ウォールファニチャー

パナソニックは「ウォールフィットテレビ」を時計や鏡など、すでに家具に溶け込んでいる壁掛けインテリアの造形をモチーフに、「ウォールファニチャー」を目指してデザインしたという。

従来からあるテレビのデザインをいったんゼロベースから見直した取り組みといえるだろう。

「くらしスタイルシリーズ」をパナソニックの事業の柱に

パナソニックには「プライベート・ビエラ」というラインがある。

放送波や動画をテレビのモニターにワイヤレス伝送することで、どこでも持ち運びのできるポータルテレビだ。

その伝送技術を採用し、2021年秋にはキャスター付きで移動のできる「レイアウトフリーテレビ」も発売した。

その同じ伝送技術を引き継いだ第3弾のテレビが、壁掛けの自由度、ひいては設置場所の自由度を高めた「ウォールフィットテレビ」となる。

パナソニックはこれら3つの商品群を「くらしスタイルシリーズ」としてシリーズ化し、今後は事業の柱に育てていくという。

その「くらしスタイルシリーズ」のコンセプトが「テレビの場所が自由になると、くらしはもっと自由になる」

アンテナ端子の位置という、元来テレビの設置場所を縛ってきた制約を取り払い、テレビと住空間の関係にいっそうの自由度を与える。

するとやがて人の暮らし方も変わっていく。そんな予感を抱かせるコンセプトだ。

人々の“くらし中心のテレビ”へ パナソニックの不退転の挑戦

昨今はユーチューブやネットフリックスなどの動画配信サービスが生活に浸透し、テレビ視聴の時間が奪われつつある。

スマートフォンやタブレットなどデバイスも選択肢が増え、映像コンテンツを楽しむのに必ずしもテレビが一強とはいえなくなった。

テレビチューナーを省きインターネット経由の動画配信サービスに特化したテレビも登場し、人気を集めている。

そんな時代にテレビがリビングの中心に安穏と置かれることを前提としていてよいのか? 

同じ番組を同じ時間にお茶の間で家族そろって視聴するスタイルはもはや過去のものになりつつある。

パナソニックはテレビが人々のニーズから乖離してきており、既に転換期を迎えていると感じていたという。

「ウォールフィットテレビ」はネットフリックスやAmazonプライムビデオなどの動画配信サービスが提供する4Kコンテンツも高画質で楽しめる。

さらに「スマートTVアプリ」を使えばをネット動画やゲームなどいろいろなアプリも利用できる仕様にしている。

様々な映像コンテンツがあふれる今の世の中、デバイスもまた、その時々の見たいコンテンツと視聴スタイルに合わせて選ばれることになる。

大画面で画質や音質にこだわって視聴したいというときにテレビが外せない

人々が何の迷いもなくそう思ってくれるように、パナソニックは「くらしスタイルシリーズ」を推し進めるのだろう。

“テレビ中心のくらし”から、人々の“くらし中心のテレビ”へパナソニックの今後の挑戦に期待したい。

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