今回は『説明する』を文脈に応じて品よく言い換える方法を整理する。
目次
1.『説明する』とはどんな性質の言葉か?
「説明する」は、考えや状況、判断の背景を伝える場面で広く使われる言葉である。
一方で、どの程度まで詳しく伝えるのかや、何を中心に述べるのかが文脈に委ねられやすい語でもある。
まずは、この語の輪郭を大づかみに整理しておきたい。
意味のコア
「説明する」は、内容や事情、考えなどを相手に理解できる形で伝えることを指す言葉である。
簡潔に伝える場合から、背景や理由まで含めて伝える場合まで、幅広い意味領域を持つ点に特徴がある。
文脈によっては、求められる説明の範囲や深さの解釈に差が生まれ、認識のずれにつながる場合もあり、使いどころには気を配りたい。
こうした性質を踏まえ、次章では「説明する」を言い換える際に使える表現を整理する。
2.『説明する』を品よく言い換える表現集
ここからは「説明する」を、文脈に応じて品よく・知的に言い換える方法を整理する。
2-1. 要点を分かりやすく伝えるとき(明示)
- 明示する
- 曖昧さを排し、事実や条件をはっきりと目に見える形で提示する際に用いる。
- 例:契約更新の条件を資料内に明示し、双方の認識の齟齬を完全に解消した。
- 述べる
- 自分の考えや事実を、順序立てて公の場で口頭または文章で伝える基本表現。
- 例:取締役会で新規事業の展望を述べ、株主からの全面的な支持を取り付けた。
- 自分の考えや事実を、順序立てて公の場で口頭または文章で伝える基本表現。
- 示す
- 根拠となるデータや図表を用い、相手が直感的に理解できるよう提示する。
- 例:市場調査の結果をグラフで示し、ターゲット層の変更に関する合意を得た。
- 根拠となるデータや図表を用い、相手が直感的に理解できるよう提示する。
- 趣旨を述べる
- 議論や計画の根拠となる中心的な考え方を、簡潔にまとめて表明する場面に適する。
- 例:プロジェクト発足の趣旨を述べ、参画するメンバーの士気を高めることに成功した。
- 議論や計画の根拠となる中心的な考え方を、簡潔にまとめて表明する場面に適する。
- 噛み砕いて伝える
- 専門的な内容を、相手の知識レベルに合わせて平易な表現へ再構成して届ける。
- 例:最新の技術仕様を噛み砕いて伝え、非エンジニア部門からの予算承認を確定させた。
- 専門的な内容を、相手の知識レベルに合わせて平易な表現へ再構成して届ける。
2-2. 背景や理由まで踏み込むとき(解説)
- 解説する
- 物事の仕組みや複雑な背景を、整理して分かりやすく説き明かす際に重宝される。
- 例:経済アナリストは現行の金融政策を解説し、投資家へ今後の指針を提示した。
- 物事の仕組みや複雑な背景を、整理して分かりやすく説き明かす際に重宝される。
- 説き明かす
- 隠れた理由や因果関係を、論理的な裏付けを持って明らかにする知的な表現。
- 例:膨大なデータを分析して消費動向の変化を説き明かし、次期戦略の柱を確立した。
- 隠れた理由や因果関係を、論理的な裏付けを持って明らかにする知的な表現。
- 背景を述べる
- 結論に至るまでの経緯や、事態を取り巻く状況を丁寧に説明して納得感を高める。
- 例:製品開発に至った社会的背景を述べ、ブランドの存在意義を市場に浸透させた。
- 結論に至るまでの経緯や、事態を取り巻く状況を丁寧に説明して納得感を高める。
- 詳説する
- 重要な事項について、細部にわたって詳しく記述または説明を行う場面に向く。
- 例:新システムの導入メリットをホワイトペーパーで詳説し、受注確度を大幅に引き上げた。
- 重要な事項について、細部にわたって詳しく記述または説明を行う場面に向く。
2-3. 根拠や論理を示して説明するとき(論述)
- 論じる
- 筋道を立てて意見を戦わせ、客観的な妥当性を持たせながら自説を主張する。
- 例:シンポジウムでは労働環境の改善案を論じ、業界全体の課題解決を促した。
- 筋道を立てて意見を戦わせ、客観的な妥当性を持たせながら自説を主張する。
- 理由を示す
- なぜその判断に至ったのか、具体的な根拠を挙げて相手の疑問を解消する。
- 例:採用の見送りに際して明確な理由を示し、候補者の納得感を醸成した。
- なぜその判断に至ったのか、具体的な根拠を挙げて相手の疑問を解消する。
- 根拠を示す
- 主張の正当性を担保する事実や証拠を提示し、説明の信頼性を強固にする。
- 例:投資効率の最大化に向けた論理的な根拠を示し、追加融資の実行を決定させた。
- 主張の正当性を担保する事実や証拠を提示し、説明の信頼性を強固にする。
2-4. 内容を補い分かりやすくするとき(補足)
- 補足する
- 本筋の説明だけでは不十分な箇所に対し、情報や説明を付け加えて理解を助ける。
- 例:質疑応答の時間で予算案の詳細を補足し、議案の円滑な採択を実現した。
- 本筋の説明だけでは不十分な箇所に対し、情報や説明を付け加えて理解を助ける。
- 付言(ふげん)する
- 既に述べた事柄に対し、参考となる意見や注意点を後から付け加える際に適する。
- 例:今後の法的リスクについて一言付言し、契約締結に向けた最終確認を終えた。
- 既に述べた事柄に対し、参考となる意見や注意点を後から付け加える際に適する。
- 言い添える
- 相手への配慮や念のための確認を、主文の後に付け加えて印象を和らげる。
- 例:納期の厳守を求める際、協力への感謝を言い添えて信頼関係の維持を図った。
- 相手への配慮や念のための確認を、主文の後に付け加えて印象を和らげる。
2-5. 意図や事情を明らかにするとき(表明)
- 表明する
- 自身の意思や決意、または組織としての公式な見解を外部へはっきりとあらわす。
- 例:環境保護に対する積極的な姿勢を表明し、企業の社会的価値を向上させた。
- 自身の意思や決意、または組織としての公式な見解を外部へはっきりとあらわす。
- 明らかにする
- 不透明だった事実や隠されていた情報を、調査や説明によって公にする。
- 例:不祥事の原因を調査報告書で明らかにし、再発防止に向けた体制を構築した。
- 不透明だった事実や隠されていた情報を、調査や説明によって公にする。
- 言明する
- 曖昧な態度を排し、自らの立場や方針を断定的な口調ではっきりと宣言する。
- 例:次四半期での黒字化を強く言明し、低迷していた株価の回復を成し遂げた。
- 曖昧な態度を排し、自らの立場や方針を断定的な口調ではっきりと宣言する。
- 経緯を述べる
- 事の起こりから現在に至るまでの成り行きを順を追って説明し、現状への理解を求める。
- 例:トラブル発生からの経緯を述べ、クライアントに対する誠実な謝罪を完遂した。
- 事の起こりから現在に至るまでの成り行きを順を追って説明し、現状への理解を求める。
3.まとめ:『説明する』の粒度を整える語彙力
「説明する」は一語で多くの場面に対応できる反面、要点提示・背景説明・論述・補足など、異なる働きを内包している。
場面に応じて言い換えを選び分けることで、伝えたい焦点が定まり、意図したニュアンスもより自然に届いていくだろう。

