今回は『資する』を文脈に応じて品よく言い換える方法を整理する。
目次
1.『資する』とは何を指す言葉か?
まず押さえたい定義
「資する」とは、特定の目的や成果の実現に向けて、価値や助力を提供し、対象をより望ましい状態へ近づける行為を指す。
意味のコア
- 目的に向けた価値提供が中心にある
- 主役ではなく側面・後方から支える構造をもつ
- 結果として改善や前進をもたらす性質がある
使う際の注意点(誤解されやすいポイント)
- 金銭的支援や出資を連想され、意味が強く受け取られることがある
- 何に対して、どのように役立つのかを示さないと、抽象的で空疎に響く
- 個人の利益より、組織・社会など公共性の高い文脈と相性がよい
- 結果を断定する語ではないため、「効果があった」と同義では使えない
こうした性質を踏まえると、状況に応じて意味を切り分けて表現することが、意図を正確に伝えるうえで欠かせない。
2.『資する』を品よく言い換える表現集
ここからは「資する」を、文脈に応じて品よく・知的に言い換える方法を整理する。
2-1. 価値を直接上乗せする(寄与)
- 役立つ
- 最も自然で汎用的な表現で、あらゆるビジネス文脈で使いやすい。
- 例:研修で得た知見が、業務改善に役立っていると感じます。
- 最も自然で汎用的な表現で、あらゆるビジネス文脈で使いやすい。
- 貢献する
- 組織や成果に向けて力を尽くしていることを明確に示す語。
- 例:新システム導入が、生産性向上に大きく貢献しています。
- 組織や成果に向けて力を尽くしていることを明確に示す語。
- 寄与する
- 数値や成果への関わりを客観的に示す、知的で上品な表現。
- 例:この分析結果は、次年度の投資判断に寄与しています。
- 数値や成果への関わりを客観的に示す、知的で上品な表現。
2-2. 進行を一段加速させる(促進)
- 促進する
- 取り組みや変化のスピードを高め、前進を後押しする語。
- 例:新たな評価制度が、社員のスキル習得を促進しています。
- 取り組みや変化のスピードを高め、前進を後押しする語。
- 推進する
- 主体的に物事を前へ進めるニュアンスを含む、力強い表現。
- 例:当部門は、全社的なDXを継続的に推進してきました。
- 主体的に物事を前へ進めるニュアンスを含む、力強い表現。
- 一助となる
- 控えめながら確かな支援を示す、品のある表現。
- 例:本資料が、皆さまの施策立案の一助となれば幸いです。
- 控えめながら確かな支援を示す、品のある表現。
2-3. 望ましい変化を導く(好転)
- プラスに働く
- 結果として良い方向に影響したことを、柔らかく伝える語。
- 例:在宅勤務制度が、離職率の低下にプラスに働いています。
- 結果として良い方向に影響したことを、柔らかく伝える語。
- 好影響を与える
- 変化の質が良いことを強調したいときに使えるフォーマルな語。
- 例:トップの発信が、現場の意識向上に好影響を与えています。
- 変化の質が良いことを強調したいときに使えるフォーマルな語。
2-4. 構造的な支えとなる(基盤)
- 支援する
- 人や組織の取り組みを側面から支える、実務で最も使いやすい語。
- 例:専門チームが運営を支援し、立ち上がりを円滑にしています。
- 人や組織の取り組みを側面から支える、実務で最も使いやすい語。
- 礎(いしずえ)を築く
- 将来の発展に向けた土台作りを示す、長期視点の格式ある表現。
- 例:今回の刷新が、成長戦略の礎を築きました。
- 将来の発展に向けた土台作りを示す、長期視点の格式ある表現。
2-5. 広く恩恵を浸透させる(波及)
- 裨益(ひえき)する
- 公的・社会的な利益をもたらす場面で使われる、非常に品格の高い語。
- 例:本研究が、医療政策の改善に裨益すると考えられます。
- 公的・社会的な利益をもたらす場面で使われる、非常に品格の高い語。
- 恩恵をもたらす
- 多くの人が受ける利点を丁寧に表す、フォーマルで柔らかい語。
- 例:制度改正が、資金繰り改善に恩恵をもたらすと見込まれます。
- 多くの人が受ける利点を丁寧に表す、フォーマルで柔らかい語。
3.まとめ:『資する』を適切に扱うための視点
『資する』とは、目的に向けて価値や助力を提供し、対象の前進や改善を支える行為を示す言葉である。
その働きは複数の側面が重なって生じるため、どの方向で支えているのかを切り分ける必要がある。
2章で整理した寄与・促進・好転・基盤・波及の違いを踏まえ、文脈に応じて語を選び直すことで、説明の精度が高まり、意図もより正確に伝わっていく。

