『正しい』を品よく言い換えると? レポートや論文、ビジネス文書に!|プロの語彙力

『正しい』を品よく言い換えると? レポートや論文、ビジネス文書に!|プロの語彙力

今回は『正しい』を文脈に応じて品よく言い換える方法を整理する。

目次

1.『正しい』とはどんな性質の言葉か?

「正しい」は幅広い場面で使われる一方で、何を基準にそう言えるのかが曖昧になりやすい。

まずは、この語が持つ性質を整理しておきたい。

意味のコア

「正しい」は、事実・論理・判断・規範・公平性といった複数の基準に照らし、対象がそれらと矛盾しない状態を示す語である。

その際、どの基準を前提にしているかが文脈によって変わるため、同じ「正しい」でも射程が揺れやすい性質を含む。

なぜ、人は「正しい」の言い換えを探すのか?

実務では「正しい」だけでは、事実の一致を言いたいのか、判断の妥当性を示したいのかが伝わりにくく、説明の精度が落ちるおそれがある。

また、断定的に響きやすく、相手の意見を否定しているように受け取られる場面も少なくない。

さらに、会議資料やレポートでは語彙が幼く見え、専門性が十分に伝わらないこともある。

揺れを抑えるには語の射程を文脈に合わせて整える必要があり、次章でその手がかりとなる言い換えを示していく。

2.『正しい』を品よく言い換える表現集

ここからは「正しい」を、文脈に応じて品よく・知的に言い換える方法を整理する。

2-1. 事実とのズレをなくす(正確)

  • 正確な
    • データや数値が事実と一致しており、検証に耐える状態を示す。
      • 例:市場動向を正確なデータで把握したことが、迅速な経営判断を下す決定打となった。
  • 的確な
    • 問題の核心や要点を外さずに押さえている状態を示す。
      • 例:彼の的確な指摘が、長引く議論に終止符を打った。

2-2. 筋道と視点を整える(論理)

  • 論理的な
    • 説明や提案の筋道が通っており、反論されにくい構成であることを示す。
      • 例:論理的な説明で矛盾を解消し、反対派からの承認を取り付けた。
  • 客観的な
    • 立場や感情に左右されず、事実や指標に基づいて評価している状態を示す。
      • 例:客観的な指標で実績を評価し、配分の不公平感を一掃した。
  • 合理的な
    • 無駄や感情を排し、コストやリスクを踏まえて道理にかなっていることを示す。
      • 例:予算配分の見直しは合理的な判断とされ、全社で共有された。

2-3. 判断として無理がないようにする(妥当)

  • 適切な
    • 状況や利害関係者を踏まえ、その場にふさわしい選択であることを示す。
      • 例:課長が適切な指示を出し、トラブルの拡大を未然に防いだ。
  • 妥当な
    • 要件や前提条件に照らして、無理のない水準に収まっていることを示す。
      • 例:計画修正は妥当と審査会で了承され、予算案に反映された。
  • 穏当な
    • 対立をあおらず、過度に踏み込みすぎないバランスの取れた判断を示す。
      • 例:双方の面目を保つ穏当な案で合意し、交渉は無事に決着した。

2-4. ルールや基準にきちんと沿う(準拠)

  • 適正な
    • 社内規程や会計基準など、定められた手順に照らして問題がない状態を示す。
      • 例:適正な経費処理を徹底し、内部監査で指摘ゼロを達成した。
  • 正当な
    • 権利や契約、合理的な根拠に裏づけられた要求・主張であることを示す。
      • 例:契約見直し要求は正当と法務が認め、再交渉の場が設けられた。

2-5. 偏りなく向き合う(公正)

  • 公正な
    • 手続きや評価基準が特定の人や組織に偏らず、中立に運用されている状態を示す。
      • 例:審査は公正な基準で行われ、採択結果が全社に共有された。
  • 公平な
    • 負担や機会、報酬などの配分が偏らず、納得感のあるバランスになっている状態を示す。
      • 例:公平な評価制度の下で、チーム全体の意欲が向上している。
  • 誠実な
    • 不利な事実も隠さず向き合い、信頼回復を意識した真摯な対応であることを示す。
      • 例:誠実な謝罪と再発防止策で、顧客からの信頼を回復した。

3.まとめ:『正しい』を適切に選び直すための視点

『正しい』は、事実・論理・判断・規範・公平性といった複数の基準に照らす語である。

その働きは文脈によって指す範囲が揺れやすく、意図が十分に伝わらない場面も生じる。

2章で整理した分類に沿って語を選び直せば、伝えたい基準が明確になり、説明の精度が自然に整っていく。

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