今回は、ビジネスで使える『全うする』の品位ある言い換えを紹介する。
目次
1.『全うする』とはどんな性質の言葉か?
「全うする」は、役割や責任、使命などを最後までやり切る場面でよく使われる言葉である。
一方で、どの範囲までやり切るのかや、何をもって完了とするのかが文脈に委ねられやすい語でもある。
まずは、この語の性質を大づかみに整理しておきたい。
意味のコア
「全うする」は、与えられた役割や責任、使命などを最後までやり切ることを指す言葉である。
単なる完了ではなく、責務や期待に応えながら終点まで遂行するニュアンスを含む点に特徴がある。
文脈によっては、どの程度まで責任を果たした状態を指すのかに解釈の幅が生まれ、認識のずれにつながることもあり、使いどころには気を配りたい。
こうした性質を踏まえ、次章では「全うする」を言い換える際に使える表現を整理する。
2.『全うする』を品よく言い換える表現集
- 果たす
- 義務や役割、あるいは約束を最後まで確実にやり遂げる誠実さを強調する。
- 例:プロジェクトリーダーとしての職責を果たし、無事に新システムの稼働を迎えた。
- 義務や役割、あるいは約束を最後まで確実にやり遂げる誠実さを強調する。
- 遂行する
- 与えられた任務や職責を、滞りなく最後まで実行し、責任を果たす。
- 例:混迷を極める事態においても、特命大使としての重責を最後まで遂行した。
- 与えられた任務や職責を、滞りなく最後まで実行し、責任を果たす。
- 完遂する
- 与えられた任務や困難な目標を、一切の妥協なく最後までやり抜く強い意志を示す。
- 例:全三十工程に及ぶ緻密な検証作業を完遂し、製品の安全性を公的に証明した。
- 与えられた任務や困難な目標を、一切の妥協なく最後までやり抜く強い意志を示す。
- 成し遂げる
- 多くの困難や障壁を乗り越え、大きな事業や目的を最終的な形として完成させる。
- 例:創業以来の悲願であった海外市場への進出を、全社一丸となって成し遂げた。
- 多くの困難や障壁を乗り越え、大きな事業や目的を最終的な形として完成させる。
- 遂げる
- 物事を最終的な結末へと導く表現であり、一文字で重厚な達成の余韻を醸し出す。
- 例:数年にわたる構造改革の末に、同社は劇的なV字回復を遂げた。
- 物事を最終的な結末へと導く表現であり、一文字で重厚な達成の余韻を醸し出す。
- 履行する
- 契約上の義務や法的な約束事を、条件通りに正確に実行し、責任を解消する。
- 例:合意書に基づき、債務の弁済義務を遅滞なく履行し、取引先との信頼を回復した。
- 契約上の義務や法的な約束事を、条件通りに正確に実行し、責任を解消する。
- 貫徹する
- 周囲の反対や環境の変化に屈せず、初志や方針を最後まで変えずに突き通す。
- 例:現場の反対を押し切ってでも、品質第一という経営方針を最後まで貫徹した。
- 周囲の反対や環境の変化に屈せず、初志や方針を最後まで変えずに突き通す。
- やり遂げる
- 途中で投げ出さず、自らの手で最後まで終わらせるという責任感と完結を強調する。
- 例:未経験の領域ながら、割り振られたリサーチ業務を独力でやり遂げた。
- 途中で投げ出さず、自らの手で最後まで終わらせるという責任感と完結を強調する。
- やり抜く
- 精神的な粘り強さに焦点を当て、過酷な状況下でも執念を持って完遂を目指す。
- 例:厳しいコスト削減要求を突きつけられたが、最後まで粘り強く交渉をやり抜いた。
- 精神的な粘り強さに焦点を当て、過酷な状況下でも執念を持って完遂を目指す。
- 達成する
- 数値目標や明確な到達点に対して、不足なく到達し結果を残した事実に適する。
- 例:営業戦略の抜本的な見直しにより、四半期ベースで過去最高の売上高を達成した。
- 数値目標や明確な到達点に対して、不足なく到達し結果を残した事実に適する。
補遺:より格調高い言い換え3選
- 完う(まつとう)する
- 本来の文語的な表記であり、役割や命を純粋なまま最後まで保つ崇高な姿勢を指す。
- 例:長きにわたり社外取締役としての使命を完うし、組織の自浄作用を維持した。
- 本来の文語的な表記であり、役割や命を純粋なまま最後まで保つ崇高な姿勢を指す。
- 成就(じょうじゅ)させる
- 祈りにも似た長年の願いや、社会的に意義のある大願が形になる場面に用いる。
- 例:地域住民との対話を重ね、十年越しとなる再開発事業をようやく成就させた。
- 祈りにも似た長年の願いや、社会的に意義のある大願が形になる場面に用いる。
- 徹する
- 特定の役割や立場に自分を捧げ、私情を挟まずにその本分を演じ切る知性を示す。
- 例:会議ではあえて聞き役に徹し、若手社員から自由なアイデアを引き出した。
- 特定の役割や立場に自分を捧げ、私情を挟まずにその本分を演じ切る知性を示す。
3.まとめ:『全うする』を使い分ける視点
「全うする」は責任や使命を最後まで果たす場面で使いやすい語だが、その内側には遂行・達成・貫徹といった複数の働きが含まれている。
場面に応じて言い換えを選び分けることで、役割の重さや達成のニュアンスがより明確になり、表現の精度も自然に高まっていくだろう。

