『補足』を品よく言い換えると? ビジネスの類語・品位語|プロの語彙力

『補足』を品よく言い換えると? ビジネスの類語・品位語|プロの語彙力

今回は『補足』を文脈に応じて品よく言い換える方法を整理する。

目次

1.『補足』とはどんな性質の言葉か?

「補足」は幅広い実務で使われる一方で、どの程度の情報をどんな温度感で添えるのかが曖昧になりやすい。

まずは、この語が持つ性質を整理しておきたい。

意味のコア

「補足」は、既に示した情報に対して不足や理解の揺れを埋めるために、後から内容を添える行為を示す語である。

その際、情報の深さ・重要度・距離感といった複数の側面が重なり、文脈によって射程が変わりやすい性質を含む。

なぜ、人は「補足」の言い換えを探すのか?

「補足します」だけでは、必須情報なのか参考情報なのかが曖昧になり、相手の判断に必要な重みが伝わらなくなることがある。

また、後出しの印象を避けたい場面では語感が強すぎたり、逆にフォーマルな文書では軽く見えたりと、文脈との噛み合わせに揺れが生じやすい。

さらに、繰り返し使うと文章が単調になり、説明の構造が見えにくくなるおそれもある。

揺れを抑えるには語の射程を文脈に合わせて整える必要があり、次章でその手がかりとなる言い換えを示していく。

2.『補足』を品よく言い換える表現集

ここからは「補足」を、文脈に応じて品よく・知的に言い換える方法を整理する。

2-1. あとから情報を足すとき(追加)

  • 追記
    • 文書やメールの末尾に後置情報を加える際に最も自然に使われる語で、実務での汎用性が高い。
      • 例:仕様変更の理由を追記し、先方の懸念が残らないよう整理した。
  • 追加
    • 既存の説明に不足分を足し、判断材料を整える場面で幅広く使われる語に適する。
      • 例:プレゼン資料に競合分析を追加し、戦略の優位性を強調した。
  • 付記(ふき)
    • 文書の正式な補足として、事務的・制度的な情報を添える際に向く。
      • 例:見積書の有効期限を付記し、先方に期日を意識してもらった。

2-2. 不足分を埋めるとき(補完)

  • 補完
    • 欠けていた要素を整え、全体の整合性を高める場面で使われる語として扱われる。
      • 例:前任者の計画を裏付けデータで補完し、予算申請の説得力を高めた。
  • 補足説明
    • 説明の不足を埋め、相手の理解を支える目的で添える語として位置づく。
      • 例:専門用語の多い資料に対し、口頭で補足説明を行い理解の乖離を埋めた。

2-3. 説明を掘り下げるとき(詳述)

  • 詳述
    • 重要な論点を丁寧に掘り下げ、判断の根拠を精密に示す場面に向く。
      • 例:採用計画の根拠を詳述し、人事部の納得を得た。
  • 解説
    • 相手の理解を助けるため、要点を噛み砕いて説明する際に使われる。
      • 例:新システムの操作手順を解説し、問い合わせ対応の負荷を減らした。
  • 敷衍(ふえん)
    • 意味を押し広げて説明し、抽象概念を具体化する高度な語として扱われる。
      • 例:社長の訓示を部長が具体例で敷衍し、現場の行動指針に落とし込んだ。

2-4. 控えめにひと言添えるとき(付言)

  • 申し添え
    • 相手への敬意を保ちながら、控えめに情報を付け加える場面に適する。
      • 例:今回の提案はあくまで初期案であると申し添え、先方の自由な発想を促した。
  • 付言(ふげん)
    • 本題を崩さず、簡潔に補助情報を添える際に向く語である。
      • 例:価格交渉には応じられないが、今後の協力は惜しまないと付言した。
  • 蛇足(だそく)
    • 必要最小限を超えるが、判断の精度を高めるために控えめに添える語として扱われる。
      • 例:蛇足ながら現地調査の結果を添えたところ、部長の判断を後押しできた。

2-5. 注意や条件を添えるとき(注記)

  • 注記
    • 誤解やトラブルを防ぐため、条件や例外を明確に示す場面に使われる。
      • 例:図表の下に統計の出典元を注記し、データの信頼性を担保している。
  • 但し書き
    • 契約・制度の例外条件を明示し、判断の前提を整える語として向く。
      • 例:無断キャンセルは料金が発生する旨を但し書きし、トラブルを未然に防いだ。

2-6. 例や資料を示すとき(例示・参照)

  • 例示
    • 抽象的な説明を具体化し、判断のイメージを共有する場面に適する。
      • 例:過去の成功事例を例示し、チームの目指す方向性を共有した。
  • 参考情報
    • 判断材料として参照してほしい外部情報を示す際に使われる。
      • 例:競合他社の価格改定を参考情報として添付し、自社の価格戦略に活かした。

3.まとめ:『補足』の意味幅を文脈に合わせて調整する

『補足』は、既存の情報に後から内容を添えて理解を整えるための語である。

その働きは、深さ・重要度・距離感といった複数の側面が重なるため、文脈によって指す範囲が揺れやすい。

2章で整理した方向性に沿って語を選び直せば、伝えたい意図がより明確になり、説明の精度が自然に整っていく。

よかったらシェアしてください!
目次