ことば学– category –
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『鑑』(カン)——意味、成り立ち、熟語 |漢字インサイト(15)
見極めるとは、映し出すことである。 そして、映されたものの奥にある「真の価値」に目を凝らすことでもある。 ──『鑑』という漢字は、「鑑定」「鑑賞」などで用いられ、どこか専門的で静謐(せいひつ)な響きをもつが、その核心にあるのは、表面ではなく“... -
『極』(キョク)——意味、成り立ち、熟語 |漢字インサイト(14)
極めるとは、削ぎ落とすことである。 そして、積み重ねの先にだけ見える「ひとつの頂き」に向かうことでもある。 ──『極』という漢字は、「最高」や「最終」といった強い言葉で知られているが、その本質には、もっと静かで深い意味が宿っている。 それは、... -
『業』(ギョウ)——意味、成り立ち、熟語 |漢字インサイト(13)
行いは、過ぎ去らない。 積み重ねは、言葉よりも雄弁である。 ──『業』という漢字は、「しごと」や「職業」を表す日常語として知られているが、その根にはもっと深い意味が息づいている。 それは、人の行いがやがて自分をかたちづくり、見えない履歴として... -
『寧』(ネイ)——意味、成り立ち、熟語 |漢字インサイト(12)
静けさは、弱さではない。 整えることは、抗うことよりも強い。 ──『寧』という漢字は、「やすらぎ」や「おだやかさ」を表す言葉として知られているが、その本質は、単なる平穏ではない。 それは、外の喧騒に流されず、内をしずかに整えるという意思のあら... -
『麗』(レイ)——意味、成り立ち、熟語 |漢字インサイト(11)
外見を飾るより、共に整える。 響き合う美しさにこそ、うるわしさは宿る。 ──一見すると華やかで柔らかな印象をもつ『麗』という漢字には、「美しい」や「うるわしい」といった意味を超えて、調和・品格・共鳴といった深い美意識が込められている。 それは... -
『操』(ソウ)——意味、成り立ち、熟語 |漢字インサイト(10)
揺れずに保ち、誠を貫き、自らを律する。 ──一見すると古風で硬質な印象を与える『操』という漢字には、「あやつる」や「みさおを守る」といった意味にとどまらない、深い精神性と静かな気高さが込められている。 それは、誰にも見られないところでこそ発... -
『希』(キ・ケ)——意味、成り立ち、熟語 |漢字インサイト(9)
かすかに光り、まれに現れ、遠くをのぞむ。 ──いかにも儚(はかな)げで淡く見える『希』という漢字には、「めったにない」や「のぞむ」だけではない、深い予感と静かな祈りが息づいている。 それは、確かでないものにこそ託される思い。 あるいは、見えに... -
『優』(ユウ)——意味、成り立ち、熟語 |漢字インサイト(8)
包む、たたずむ、そして、やわらかく響く。 ──いかにも穏やかで控えめに見える『優』という漢字には、「やさしさ」や「思いやり」だけではない、深い品格と静かな強さが宿っている。 それは、声を荒げずとも伝わる存在感。 あるいは、自らを律しながら他者... -
『愁』(シュウ)——意味、成り立ち、熟語 |漢字インサイト(7)
沈む、思う、そして、しずかに滲(にじ)む── 一見すると控えめで、陰りのある感情をあらわす『愁』という漢字には、「哀しみ」や「不安」だけではない、深い美しさと豊かさが宿っている。 それは、語られないからこそ深く残る感情。 あるいは、過去や未来... -
『逸』(イツ)——意味、成り立ち、熟語 |漢字インサイト(6)
逃れる、はずれる、そして、ぬきんでる── 一見すると矛盾するような意味を内包する『逸』という漢字には、「枠から外れること」に対する恐れと憧れが共存している。 それは、常識を外れた者が持つ危うさであると同時に、誰にも真似できない価値を宿す存在...
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