『それと』を品よく言い換えると?メールやビジネス文書に!|プロの語彙力

『それと』を品よく言い換えると?メールやビジネス文書に!|プロの語彙力

今回は『それと』を文脈に応じて品よく言い換える方法を整理する。

目次

1.『それと』とはどんな性質の言葉か?

「それと」は、会話や説明を途切れさせず話を続ける際によく使われる表現である。

まずは、この語が持つ基本的な輪郭を確かめておきたい。

意味のコア

「それと」は、前の話に別の情報や話題を続けて加える際に用いる表現である。

会話や文章の流れを自然につなぐ、口語的で親しみのある響きを持つ。

「それと、もう一点」「それと、念のため」「それと、別件ですが」といったように、「それと」は日常からビジネスまで幅広く使われている。

一方で、実務では情報を追加するのか、補足するのか、話題を切り替えるのかを、より明確に示したい場面も少なくない。

こうした性質を踏まえ、次章では「それと」を言い換える際に使える表現を整理する。

2.『それと』を品よく言い換える表現集

ここからは「それと」を、文脈に応じて品よく・知的に言い換える方法を整理する。

2-1. 話をつなぎ足すとき(追加)

▶『それと、もう一点』『それと、こちらも』など、話題を続けながら情報を自然に付け加える際の言い換え。

  • 加えて
    • 前述の内容に新たな情報や条件を補い、論点を自然に積み上げたい場面に適する。
      • 加えて、担当部署との調整日程も早めにご共有ください。
  • 併せて
    • 関連する事項を一緒に伝え、確認や依頼をまとめたい場面で重宝する。
      • :資料をご確認いただき、併せて契約書もご確認ください。
  • なお
    • 本題に続けて補足性のある情報を簡潔に添えたい場面で使いやすい。
      • :申請書を受領しました。なお、承認まで二営業日ほど要します。
  • その上
    • 前述の内容に加え、さらに別の要素を重ねて説明したい場面に向く。
      • :納期が2日も前倒しとなり、その上、急な仕様変更への対応まで重なっている。
  • さらに
    • 情報や論点をもう一段積み重ね、話を発展させたい場面で用いられる。
      • さらに、保守契約の更新条件も確認をお願いいたします。
  • 重ねて
    • 同種の依頼や謝意などを改めて添え、丁寧さを強調したい場面に適する。
      • 重ねて、会議資料の事前確認をお願いいたします。
  • あらためて
    • 一度触れた内容を区切りを設けて伝え直し、意図を明確にしたい場面で使う。
      • :詳細が固まりましたら、あらためてご連絡いたします。

2-2. 念のため申し添えるとき(補足)

▶『それと、念のため』『それと、補足ですが』など、補足や注意事項を添えて認識の漏れを防ぐ際の言い換え。

  • 念のため
    • 認識違いや見落としを防ぐため、確認事項を添えたい場面で最も使いやすい。
      • 念のため、提出期限は今週金曜日までとなっております。
  • 補足として
    • 本題に関連する追加説明を加え、理解を深めてもらいたい場面に適する。
      • 補足として、旧仕様でも当面は運用を継続いたします。
  • 付言いたしますと
    • 改まった文書や説明で、一点補い丁寧に伝えたい場面で用いられる。
      • 付言いたしますと、契約期間は自動更新ではありません。
  • あわせて申し添えますと
    • 補足事項を丁重に加え、相手への配慮を示したい場面に向く。
      • あわせて申し添えますと、受付時間が一部変更となります。
  • 参考までに
    • 判断材料となる情報を押し付けず、穏やかに共有したい場面で重宝する。
      • 参考までに、前回は二週間ほどで承認まで完了しております。
  • 蛇足ながら
    • 本筋ではない内容を控えめな姿勢で付け加えたい場面に適する。
      • 蛇足ながら、類似案件でも同様の判断となっております。

2-3. 話題を切り替えるとき(転換)

▶『それと、別件ですが』『それと、次の話ですが』など、新たな論点や話題へ自然に移る際の言い換え。

  • ところで
    • 現在の話題を一区切りし、新たな話題へ自然に移りたい場面で使いやすい。
      • ところで、来月の展示会準備は順調に進んでいますか。
  • 次に
    • 議題や説明を順序立てて進め、次の論点へ移る場面に適する。
      • 次に、運用開始後のサポート体制をご説明いたします。
  • さて
    • 話の流れを切り替え、本題や新しい論点へ移りたい場面で用いられる。
      • さて、本日の議題について順番に確認してまいります。
  • 一方で
    • 別の視点や対照的な事情を示し、議論を広げたい場面に向く。
      • 一方で、現場からは慎重な進め方を求める声もあります。
  • つきましては
    • 前述の内容を受け、依頼や案内など次の行動へつなげたい場面で重宝する。
      • つきましては、ご都合のよい日程をご連絡ください。
  • 話題を変えると
    • 話題を意識的に切り替え、新しい内容へ移ることを明示したい場面で使う。
      • 話題を変えると、採用計画にも見直しが必要となります。
  • 翻って(ひるがえって)
    • 視点を転じて別の立場や状況を考察したい文章で効果を発揮する。
      • 翻って、自社の運用体制にも改善の余地が見受けられます。
  • それはさておき
    • 前の話題をいったん脇に置き、本題へ戻したい場面で用いられる。
      • それはさておき、まずは納期変更の可否から確認いたします。

3.まとめ:『それと』を品よく言い換える——話の流れを自然につなぐ表現

「それと」は、話のつなぎ方によって選ぶ語が変わる。

文脈代表語着眼点
話をつなぎ足すとき(追加)加えて・なお情報を続けて積み上げる接続
念のため申し添えるとき(補足)念のため・補足として誤解や漏れを防ぐ補足情報
話題を切り替えるとき(転換)ところで・さて新たな論点へ自然に移る接続

語を選ぶ基準は、前の話を続けるか新しい話へ移るかでまず分かれる。

前者なら「話をつなぎ足すとき(追加)」や「念のため申し添えるとき(補足)」を、後者なら「話題を切り替えるとき(転換)」を軸に据える。

「それと」が持つ話の接続機能を意識するほど、語の選択によって伝えたい流れの輪郭が明確になるだろう。

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