『追加』を品よく言い換えると? ビジネスの類語・品位語|プロの語彙力

『追加』を品よく言い換えると? ビジネスの類語・品位語|プロの語彙力

今回は『追加』を文脈に応じて品よく言い換える方法を整理する。

目次

1.『追加』とはどんな性質の言葉か?

「追加」は幅広い場面で使われる一方で、何をどの程度足すのかが文脈によって揺れやすく、意図の精度が落ちることがある。

まずは、この語が持つ性質を整理しておきたい。

意味のコア

「追加」は、既存の枠組みを保ちながら後から要素を足し、全体の不足や偏りを整える行為を示す語である。

その際、情報・数量・内容・仕組みなど複数の対象にまたがり、足す目的や方向性が文脈によって変化しやすい性質を含む。

なぜ、人は「追加」の言い換えを探すのか?

「追加しました」だけでは、不足を埋めたのか、内容を深めたのか、数値を上乗せしたのかが曖昧で、相手の判断に必要な情報が届かないことがある。

また、語感が事務的で温度が出にくく、配慮や意図が伝わらない場面も少なくない。

さらに、文章中で繰り返すと単調になり、思考の粗さとして受け取られるおそれもある。

揺れを抑えるには語の射程を文脈に合わせて整える必要があり、次章でその手がかりとなる言い換えを示していく。

2.『追加』を品よく言い換える表現集

ここからは「追加」を、文脈に応じて品よく・知的に言い換える方法を整理する。

2-1. 不足を埋めるとき(補充)

既存の不足を正確に埋め、全体を整える場面で使う語群

  • 補う
    • 欠けている要素を埋め、全体の整合性を整える語であり、実務判断に向く。
      • 例:前回の提案で欠落していたコスト分析を補い、再提案に臨んだ。
  • 補充する
    • 減った分を適切に足し、必要量を確保する場面で使われる。
      • 例:欠品続きだった消耗品を補充し、現場の停滞を解消した。
  • 補完する
    • 不十分な部分を補い、機能や内容を完全に近づける語として扱われる。
      • 例:要件定義が曖昧であったため、技術部が不足情報を補完し仕様を確定した。

2-2. 情報を書き足すとき(付記)

文章・資料・報告に後から情報を足し、理解を整える場面で使う語群

  • 補足する
    • 説明の不足を埋め、判断材料を整える際に適する。
      • 例:誤解を避けるため、会議録に背景事情を補足し共有した。
  • 追記する
    • 文書やメールに後から情報を足し、事実関係を明確にする語である。
      • 例:新たな検証結果が判明したため、報告書に詳細を追記した
  • 加筆する
    • 既存の文章に内容を足し、精度や説得力を高める場面に向く。
      • 例:法務部のアドバイスを受け、契約書の免責事項に具体的な一文を加筆した。
  • 注記する
    • 注意点や補足情報を簡潔に添え、誤読を防ぐために使われる。
      • 例:法令改正に伴い、契約書の該当箇所に但し書きを注記した

2-3. 内容を掘り下げるとき(深化)

企画・提案・研究などで、内容の厚みや説得力を高める場面で使う語群

  • 肉付けする
    • 骨子に具体性を加え、企画の実効性を高める語として扱われる。
      • 例:提案の抽象度が高かったため、事例を肉付けし説得力を補強した。
  • 盛り込む
    • 必要な要素を中に入れ、内容を充実させる場面に向く。
      • 例:経営陣の懸念を踏まえ、追加施策を計画書に盛り込んだ
  • 織り込む
    • 条件や配慮事項を事前に組み入れ、計画の実現性を高める語である。
      • 例:円安によるコスト上昇を予算案に織り込み、現実的な利益目標を設定した。

2-4. 数量・金額を上乗せするとき(加算)

数値・条件・費用など、定量的な“追加”を示す語群

  • 加算する
    • 数値を客観的に足し合わせ、計算根拠を明確にする場面に適する。
      • 例:深夜作業が発生したため、人件費に割増賃金を加算した
  • 上乗せする
    • 条件や金額にプラス要素を加え、調整の余地を示す語として扱われる。
      • 例:目標を大幅に達成した営業担当者に対し、特別報奨金を上乗せして支給した。
  • 増額する
    • 予算や費用を増やし、必要な投資規模を確保する場面に向く。
      • 例:広告の反響が予想以上に良いため、今期のマーケティング予算を増額した。

2-5. サービス・仕組みを広げるとき(拡充)

制度・サービス・機能を“より良く広げる”方向の追加

  • 拡充する
    • 内容や機能を厚くし、サービス水準を高める場面に使われる。
      • 例:問い合わせ増加に対応するため、サポート体制を拡充した
  • 拡張する
    • 範囲や機能を外側へ広げ、利用可能性を高める語として扱われる。
      • 例:利用者増を見据え、サーバー容量を拡張し耐障害性を高めた。

2-6. 新たに組み入れるとき(導入)

外部の要素を自社の枠組みに“正式に加える”場面で使う語群

  • 導入する
    • 新しい仕組みや技術を取り入れ、運用に組み込む場面に向く。
      • 例:社内コミュニケーションの活性化を目指し、新しいチャットツールを導入した。
  • 組み入れる
    • 既存の構造に新要素を加え、一体として機能させる語である。
      • 例:研修プログラムにワークショップを組み入れ、受講者の参加意欲を高めた。

2-7. 資料などを添えるとき(添付)

書類・メール・挨拶状などに“そっと添える”品位ある追加

  • 添付する
    • メールや文書に関連資料を加え、確認を促す場面に適する。
      • 例:会議の欠席者に向け、議論の内容をまとめた議事録を添付して送信した。
  • 添える
    • 主体を引き立てる形で情報や物品を加える、柔らかい語である。
      • 例:誤解を避けるため、補足説明を一文添えて報告した。

3.まとめ:『追加』の曖昧さをほどき、意図を明確にする

『追加』は、既存の内容に後から要素を足す行為を示す語である。

その働きは不足補填・情報追記・内容深化・数値上乗せ・仕組み拡大など複数の側面が重なるため、文脈によって射程が揺れやすい。

2章で整理した分類に沿って語を選び直せば、相手に伝わる意図が明確になり、説明の精度が自然に整っていく。

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